信州大学経済学部 真壁 昭夫教授の記事『新型コロナショック、いよいよ韓国の「資金流出」が止まらない…(原文ママ)』(2020/3/16(月) 7:01配信)の中で、どの部分が客観的でどの部分が個人の意見なのかを腑分けしていく。
結論から言えば、一般論と推測による部分がほとんどであることが良く分かった。
(記事リンク)
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200316-00071130-gendaibiz-kr
(引用開始)
韓国の金融市場は、パンデミックに伴う混乱もありすでに非常事態を迎えている。
↑非常事態の定義は?いきなり印象操作的。
投資資金の資金流出が止まらないことが主な原因だ。
↑真壁氏の推測
2月末から3月12日までに韓国ウォンは米ドルに対して約2.3%下落した。
↑2月末とはいつの時点だろうか?以下のBloombergによるチャートを見ると、2月24日から3月5日にかけてむしろウォン高が進み、3月5日に底を打って3月12日までウォン安に戻っている。真壁氏の言う「3月12日」の時点でウォンがドルに対して下落したのかどうかは、「2月末」をいつとするかによってだいぶ印象が変わるが、そこを明確にさせないまま議論を展開しようとしているのは何故だろうか?

同期間、韓国株価総合指数(KOSPI)は7%超下落した。
↑これは大体正しい。が、やはり「2月末」の定義は相変わらず不明。

新型コロナウイルスによる肺炎の感染拡大などを受け、多くの投資家が同国に対するリスクを急速に削減し始めているとみられる。
↑真壁氏の推測
過去、世界経済が大きく混乱したケースでは、韓国はドルを中心に経済運営に必要な資金を確保することが難しくなった。
↑事実
足許、価値が安定しているといわれる金価格まで下落している。
↑事実
投資家が価格変動リスクのある資産を手放し、資産を守ろうと必死だ。
↑真壁氏の推測
韓国はマクロ経済運営の難局を迎えつつあるように見える。
↑真壁氏の推測
文在寅(ムン・ジェイン)政権が、株式市場などからの資金流出を食い止めようと必死だ。
↑真壁氏の推測
3月上旬、韓国株式市場における空売り金額は、昨年の一日平均の2倍に膨れ上がった。
3月11日、韓国政府は株式市場の安定を目指して株式の空売りを規制し始めた。
↑事実
更に、12日にはプログラム売買の制限措置である“サイドカー”まで発動された。
↑事実
この状況に関して、ある市場参加者は、「韓国政府はなりふり構わない姿勢で市場の売り圧力を封じようとしているようだ」、と指摘した。
↑「ある市場参加者」とは誰のことか?少額投資しているデイトレーダーも「市場参加者」になりうる。信頼できるソースか?
見方を変えれば、韓国は政府の力によってアルゴリズムなどを用いてプログラム売買を行うファンド勢を中心に市場参加者の売り注文を抑え込み、何とかして資金の流出を抑えたいのだろう。
↑真壁氏の推測
しかし、相場のエネルギーを政府の力で抑えようとすればするほど、たまったマグマが噴き出すかのように売り圧力は高まりやすい。
↑一般論
禁止されると、どうしてもそれにあらがいたくなるのが人情でもある。
↑一般論。しかも雑。人情?
一例に、2015年夏、中国政府は株価の急落を受けて売買の停止に踏み切り、売り圧力を強制的に排除しようとした。
それでも、株価下落は続いた。
↑事実
その後、中国の株価が上値の重い展開となったことを振り返ると、ひとたび政府が強制的に市場参加者の行動を押さえつけると、金融市場に資金が戻りづらくなる。
↑真壁氏の推測
重要なのは暴力的なまでの売り圧力から市場の安定を守ることと、自由な取引維持のバランスだ。
↑一般論
矢継ぎ早に株式取引への規制をかける文政権にこのバランス感覚があるか否かは気になる。
↑真壁氏の意見。「気になる」というお気持ち表明。
文政権の株式取引規制の強化を受けて、大手投資家の中には韓国の市場管理姿勢を不安視する者がいる。
↑だから誰?「大手投資家」とは?
過度に売り圧力を抑制すると、売買自体が成立しづらくなり市場の流動性が枯渇する恐れがある。
↑一般論
多くの投資家がリスクを削減し韓国から資金が流出する中で流動性が枯渇すれば、経済全体での資金繰りに無視できない影響が出る可能性がある。
↑一般論
韓国は、慢性的なドル不足という潜在的な課題を抱えており、多くの企業や金融機関が資金繰りの確保に危機感を強めているはずだ。
↑真壁氏の推測
また、韓国では経済環境が悪化すると労働組合が雇用の維持、更には賃上げを求め企業経営の苦しさが増す傾向にある。
↑一般論。かなり抽象的。労働組合の動向について具体例は?
資金繰りの確保や安定した経営環境を求め、海外に脱出する企業は一段と増加するだろう。
↑真壁氏の推測
懸念されるのは、韓国からの資金流出などが続き、文政権の経済運営が一段と厳しい状況を迎えることだ。
↑真壁氏の推測
1997年のアジア通貨危機、2008年のリーマンショックの際、韓国は経済全体での資金繰りに行き詰まり、米国などから支援を受けた。
↑1997年アジア通貨危機では米国というよりはIMFのことでは?少なくとも韓国国内では「IMF」として記憶されている。
足許、韓国国内では日米との通貨スワップ協定を結ぶべきとの危機感は高まっていると聞く。
↑ソースは?少なくとも韓国政治専門家の分析を引用できるはず。
新型肺炎に加え、原油価格の下落を受けて世界経済を支えてきた米国経済の景気後退リスクは高まっている。
↑一般論
韓国では文政権への批判が増えており、総選挙後の政治環境は一段と不安定化し、経済運営が更に難航する可能性は否定できない。
↑一般論
世界経済の不確定要素が増える中、韓国経済がどのように資金繰りをつなぐことができるか不透明感が増している。
↑一般論。しかも全体の論旨との一貫性がよく見えない。