見識のある人たちの間ではすでにツイッター上で共通認識になりつつあることも、ツイッターの性質上時間が経つにつれて見えにくくなってしまうため、書き残しておく必要があると思いこの記事を作成した。
コロナウイルスへの対応をめぐり、韓国の対応は世界的に評価され、日本の対応は危険視されている。このことが日本語の報道だけ見ていると見えにくいと思ったので後世のために書き残す。
米紙Bloombergは、欧米諸国はコロナが最初に流行したアジアの対応を見習うべきだと主張した。同紙は、見習うべき数多くのポイントのうち、真っ先に韓国での大量検査体制を紹介した。

South Korea, which has the highest infection tally in Asia outside of China, is testing more than 10,000 people a day, the fastest pace globally. Researchers there began developing a virus test kit at the end of January — when Korea had less than 10 infections — aided by a fast-track regulatory approval system that was set up after the MERS outbreak in 2015.
(中国を除きアジアで最も感染率が高い国である韓国は、一日当たり1万人以上に検査を行っている。この速度は世界一の水準である。韓国の研究者は1月末に検査キットの開発に着手している。そのころ、韓国には10人ほどの感染者しかいなかった。管理当局もこれを支援しているが、これは2015年のMERS流行に端を発する。)
Efficient testing has allowed South Korea to isolate and treat infected people early, thereby slowing the virus’ spread and lowering the mortality rate to less than 1%.
(この効率的な検査により、韓国は感染者を早期に隔離・治療することに成功した。これが功を奏し、ウイルスの感染速度を遅らせ、致死率を1%以下に下げることに成功している。)
検査の重要性はWHOのテドロス事務局長も「とにかく検査、検査、検査である」と繰り返し述べている。
3月17日の時点で、英語圏のメディアは皆本格的にコロナウイルスの拡散防止の方案をアジア諸国の対応に求めているが、大筋において「中国モデル」と「韓国モデル」の2つに分類している。「中国モデル」は感染者が多数発生した街を丸ごと封鎖(出入り禁止)するものであり、「韓国モデル」は検査を大量に行うことで感染者を軽症の段階から炙り出し、隔離治療することで重症者を増やさないことを目指すものであると整理できる。
米Forbes誌は、「中国モデル」と「韓国モデル」が今のところ選択可能な2つのモデルであるという論評を掲載している。

China And South Korea Models Seem Like Only Way To Contain COVID-19
他方で、「中国モデル」の採用は欧米民主国家には難しいという意見も登場した。街丸ごとの閉鎖というインパクトに加えて、中国の一党独裁に対する偏見も相まって、民主国家である韓国のモデルにより関心を示しているようだ。

South Korea shows that democracies can succeed against the coronavirus
The South Korean response is stronger because it is open to criticism and examination. That’s why their economic situation is likely to improve faster, along with their public health. It’s working for Moon politically, as well. Trump might want to think about that before saying coronavirus will just “go away,” like he did Tuesday.
(韓国の反応は(中国に比べ)より敏感だった。批判や検証に対してオープンであるためだ。そのため、韓国の経済状況は、公衆衛生と相まって、中国より早く回復するだろう。これは文大統領にも政治的にはいいことだ。トランプ大統領も、ウイルスは「勝手に消滅する」などと言う前にこうした側面を考えてみたほうがいいかもしれない。)
Democracies strike a balance between personal liberty and government responsibility. Our citizens live better lives because they are promised dignity and entrusted with truth. Our values are not what make us vulnerable; they are what make us strong. The only thing we have to do is live up to them.
(民主主義とは個人の自由と政府の責任の間にバランスを見出すことである。民主主義において市民がよい生活を送ることができるのは、尊厳を認められ、真実を知る責務があるからである。民主主義の価値観とは我々の社会を脆弱にするものではなく、むしろ強くするものである。我々は民主主義を貫徹しなければならない。)
韓国政府も、国際的に韓国モデルが注目されていることを受けて、同国の検査モデルが一定の効果を上げていることを英BBC向けにアピールした。韓国の康京和・外交部長官は感染確定数が減っていること、「証拠と科学にもとづき」行動していることを説明した。

https://www.bbc.com/japanese/video-51903494
こうした韓国モデルが世界で認知・定着する中で、日本はかたくなに検査数を増やさない方針を貫いている。英国も同様の方針を表明したが、英国の場合は最初からその方針を明確にしたところが日本とは違うようだ。前述のBloomberg記事において、日本は十分な数の検査をしていないことが韓国との対照で批判されている。なお、アジアに学ぶべきとしたこの記事の中で、日本はデータの信ぴょう性がないためだろうか、各国の比較から除外されている。

On the other hand, Japan drew criticism for not testing enough people, which raises the prospect of scores of undetected infected people remaining un-quarantined and spreading the virus more widely.
(他方で、日本は十分な数の検査をしていないことで批判されている。診断を受けていない感染者が隔離されず、ウイルスを拡散しているのではないかという疑惑が広がっているのだ。)
最後に、日本が検査数を増やさない理由は「医療崩壊」の防止ということだが、日本政府は「医療崩壊」と直接は関係ない韓国式の検査(「ドライブスルー」方式)さえも不正確な理由で否定している(後に謝罪および訂正)。
以上、主に英語圏の報道を中心にコロナ対応をめぐり韓国モデルが脚光を浴びていること、日本が危険視されていることを簡単に紹介した。
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