韓国に住む日韓夫婦の「秋夕(チュソク)」里帰り@2020年

あにゃーせよ!(안녕하세요!)妻を追って韓国に移住した아츠시です。今年も秋夕(チュソク)の連休を利用して妻の実家のある韓国南部の都市・大邱(テグ)に2泊3日で里帰りをしてきた。色々と興味深いことがあったので、写真や動画で振り返ってみたいと思う。

いきなり言い訳がましくなるが、とても楽しかった。そして、チュソクが楽しかったと言えば言うほど嫌われてしまうのが在韓日韓夫婦の定め…!

そもそもチュソクとは何か?一般的には「韓国版旧暦お盆」と理解されていると思う。僕もそれはほぼ正しい認識だと思う。ご先祖様の霊が、あの世から帰ってくるイベント。日本だってお盆と言えばそういう建前で、田舎の実家にみんなで帰省していたはずだ。そして昔は旧暦でやっていたはずなのだ。韓国(や中国)では、そういう伝統イベント(お盆や正月)は今でも旧暦で行っている。

それでなぜ「チュソクが楽しかったと言えば言うほど在韓日韓夫婦のコミュニティの中で嫌われてしまう」のか?それにはちょっと解説が要る。

まず、韓国在住の日韓夫婦は、「韓国人夫+日本人妻」の組み合わせが圧倒的多数派だと思う。つまり、韓国に嫁入りしたパターンが大部分なのである。そういう家庭では日本人妻は「ミョヌリ(=日本語で言うところの「嫁」)」として、チュソクでご先祖様にお供えする料理(写真は下記に掲載)の準備をするための労働力として期待されるのである。姑と!嫁が!大量の料理を!するのである。それが嫌で嫌で仕方ない、そもそも大人数の(普段別に親しく付き合ってるわけでもない)義理の家族と顔を合わせるだけでもストレスなのに、さらにタダ働きさせられるのはもう精神的に参ってしまう、というのが「一般的な韓国在住の日韓夫婦の日本人妻」のチュソクのイメージであるらしい。

ちなみに韓国と日本の両方で話題を呼んだ『82年生まれキムジヨン』という韓国小説にも、チュソクで夫の実家に帰省して姑と一緒に料理したりタダ働きに汗を流す妻と、そんな妻を横目に自分の実家でくつろぐ夫の姿が対比されている。韓国人女性でさえ夫の実家(シジプという)での姑との労働やそれに付随するもろもろの会話は鬱になるのだから、異国の地に嫁いだ日本人妻にとってはそのストレスは想像に難くない。

『82年生まれ、キム・ジヨン』は名作なので、まだ読んでない方は是非読んでみてください
結局エンジョイした

という、一応日本人妻たちの辛さは認識はしているというアリバイを作った上で、今回の楽しかったチュソクの振り返りを行っていきたい。

ちなみに今回のチュソクは、コロナ(COVID-19)の拡散後初の名節(韓国語ではミョンジョル)となった。2020年初から韓国でも大拡散したコロナだが、旧正月(ソルラル)の時点ではそこまで拡散していなかった。そのため、「民族の祭典」たるチュソクとはいえども、今回ばかりは国民に帰省の自粛を呼びかけるべきかどうかが国政レベルで真剣に議論されていた。結局は国家からは「自粛」というほど厳しい呼びかけは行われず、「帰省はオンラインで」「顔合わせより家族の安全を」といった、奥歯に物が挟まった曖昧な言い方に留まったという印象である。

何となくこんな感想を持った

さて、チュソクの帰省である。ソウル駅からKTXに乗り、妻の実家のある韓国南部・慶尚南道の大邱(テグ)を目指す。

コンユ主演のゾンビ映画『釜山行』をイメージしたツイート。実際は浦項(ポハン)行きでした。
いや4分の1じゃなくて2分の1ですけどまあそこは突っ込まない

わたくしども夫婦はソウルから大邱までの移動を、KTXという韓国の高速鉄道に乗って行った。KTXは、日本で言うなら新幹線のようなものと理解してもらえればよい。前述の通りチュソクでの民族大移動によるコロナの感染拡大が危惧される中、公共交通機関の中でも長距離移動の大動脈であるKTXは、コロナの感染源として最も危険視されていた。そのKTXは、乗客の搭乗を「窓際席のみに限定」するという荒療治で乗り切った。つまり、席を予約する段階から窓際席のみ選択可能とする方法を取ったのである。これなら客と客の間が最大化できる…が、単純に考えてもこれはKTXのチケット売上高を半分まで落としてしまう。(座席をフルで売った場合は一列あたり窓際+通路側+通路側+窓際の4席。窓際のみの場合は2席。ツイートで4分の1と書いてあるのは盛大なる間違いである。)

KTXの東大邱駅を降りると、広々とした駅前が広がっている。どうやら再開発を行っているらしい。噴水などもある優雅な雰囲気である。

ここから、地下鉄東大邱駅へと向かう。この地下鉄東大邱駅が面白かった。

まず、「文学自販機」というものがあった。

東大邱駅の「文学自販機」

東大邱駅の地下鉄構内に「文学自販機」というものがあった。これは、ボタンを押すと無料で詩の書かれた紙がプリントアウトされてくるというものである。さすが文学の国、韓国。詩人の国、韓国。優雅さが違う。

韓国、東大邱駅の地下鉄構内で見つけた「文学自販機」
文学自販機からプリントアウトされた詩

もう一つ面白かったのは、「音の出る階段」。階段を登るたびにドレミの音が出る楽しい仕掛けである。これは色々な駅に設置されているらしいが、僕はここ東大邱で初めて見た。

音の出る階段

地下鉄にしばらく揺られ、無事に妻の実家に到着した。

可愛い猫にお出迎えされたりした。

猫がお出迎え
カカオ エモティコン

注意:ここから先は美味しそうな韓国料理の写真が出て来ます

妻の実家に到着した初日は参鶏湯(サムゲタン)という料理をご馳走になった。ツイッターでお世話になっている韓国人の博士様によると、婿が夜に頑張れるように義母が作る定番料理だそうだ。

サムゲタン.jpg

また、豆腐と大根と牛肉のスープ(ソゴギムックッという)もご馳走になった。地味なようだがとても美味しい。

翌日朝は10月1日。秋夕(チュソク)本番である。先述した通り、ご先祖様の霊をお迎えするというお盆的なイベントであり、より正確にはチャレ(茶礼)というらしい。秋夕や旧正月の年2回、ご先祖様全体に対する礼を執り行う儀式である。一方でチェサ(祭祀)というのもあり、これは具体的に亡くなった方を想定し、その命日に行うものであるらしい。

お供えの料理は妻のお母様(チャンモニム)が準備して下さった。

写真を見れば分かる通り、多くの飲食物が供えられる。米の飯や果物、魚、タコ、ジョン(チヂミ)などである。また、マッコリという酒を何度かに分けてテーブルの上に乗せる。お香を焚き、マッコリの杯を持ってお香の上で円を描くように回し、テーブルに備える。

お供えのセッティングが出来たら、クンジョルという礼をする。両手を頭の上に持っていき、床に両手をつきながら両膝をつく。僕は中学高校時代、弓道の稽古に明け暮れていたので、こうした礼は嫌いでない。

礼がすんだら、お供えを少しだけ残して、家族で食す。これもまた古き良き時代の習慣という感じで良い。朝からマッコリ。

食事後に妻の家の中でわたくしども夫婦の臨時寝室として使わせて頂いている部屋に戻ると、箪笥の立派さに改めて驚いた。昔気質の家には今でも多くあるらしい。

日本と韓国は文化が似ているが、美意識という面では韓国には何というか卓絶したものがある気がする。この箪笥もそうだった。

こうしたちゃぶ台は日本と同じか。

朝食を茶礼のご馳走で大食したせいか、昼食はみんなでスキップすることになった。そこで、天気も良いことだし大邱市内にある大邱水辺公園という自然公園に赴いた。

自然にあふれた公園で、散歩しながら、僕、妻、妻のお母様の3人で色々な話をした。

今回の大邱行きでは、家族の会話というのを多く行ったのであるが、その中でも最も大きな話題はずばり「子供」のことであった。わたくしども夫婦は結婚して2年になるのだが、夫婦の合意の下、避妊を続けてきた。だが、年齢の問題もあり、そろそろ…という話をしている。義実家のご両親や、私自身の希望もあるので、そろそろ本腰を入れて取り組んではどうか、という話をしてきた。繊細な問題であるが、私自身韓国社会である程度基盤を築きつつあるので、夫婦でよく話しながら実行していきたい所存である。こうした、普段意識しながらもなかなか言いづらい話を敢えてできるのも、名節のようなイベント性のある時期ならではのことではないだろうか。

楽しい時間はあっという間に過ぎ、大邱を離れてソウルへと向かう時間となった。ご馳走になったお礼と、日ごろの感謝の気持ちを込めて、わたくしども夫婦はご両親にヨントン(現金のプレゼント)を行った。韓国では、家族の間で口実を見つけてはこのヨントンの交換が盛んにおこなわれる。僕は日本では現金を送りあうなんてしたことが無かったので最初は抵抗があったが、銀行間の送金手数料がタダであることが多いのと、送る回数が多い割には送られる回数も多いので、結局儀式的にお金を「送りあっている」ということが徐々にわかってきたため、いつの間にかわたくしども夫婦もご両親にヨントンを送るのが普通になった。今回は帰省したこともあり、手渡し。

さて、再びの東大邱駅である。帰りは夜になった。

そう、大事なことを言い忘れていた。大邱は韓国の中でも、初期にコロナが大拡散してしまった都市なのである。それもあって、街のいたるところに「マスクを着用しよう!」というメッセージが掲げられていた。ソウル首都圏でも多いが、大邱はそれに輪をかけて徹底されていた印象がある。これも、初期に感染爆発に苦しめられた大邱ならではと言えようか。10月になった今では大邱は韓国でも一番コロナが少ない地域となっている。

【コロナ】マスクをしよう:韓国・大邱(テグ)の看護師からの伝言

さて、今ではコロナ対策もあって、KTXに搭乗する際には、アンタクトで消毒が可能である。アンタクトとはUntact,非接触非対面を意味するコングリッシュ(英語風韓国語)であるが、コロナをきっかけに社会的に急速に普及しつつある。

同様に、コロナ対策のために密を避けてプラットフォームの待合室のような場所は完全に封鎖されていた。

そんなこんなでまた2時間KTXに揺られ、無事にソウル駅へと到着した。本当に楽しい時間を過ごすことができたので、妻と義理のご両親には感謝してもしきれない。このチュソク連休が終わったらまた頑張って働こうと新たに心に決めた次第である。

@AtsushiSeoul

Published by Atsushi

I am a Japanese blogger in Korea. I write about my life with my Korean wife and random thoughts on business, motivation, entertainment, and so on.

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