これ以上現実逃避は出来ない、だが特効薬もない。どう転んでも日本円・日本財政・日本経済の見通しは暗いが、善意を取り戻して税に対して前向きになることから始めるしかない。(明石順平『財政爆発』角川新書、2021年 を読んだ感想)

日本財政は法人税や所得税を減らし、消費税が低く、低賃金を放置したことで歳入上の失敗を続けてきた。失敗から現実逃避するために国債を買い、株を買うことで金融市場にアピールを続けてきたが、特に国債市場の信用を失えば日本円も運命を共にする。アベノミクスとは現実逃避を続けてきた日本にお似合いの最後の麻酔薬であった。

経済の大前提は先進国を中心に似ているので、少子高齢化によって医療費や年金などの財政負担が増えるのはどこも同じで、増税の必要性とその抵抗という葛藤があり続けた。いずれは表面化する問題に有無を言わさず直面させることになったのがコロナであり、コロナ対策の社会保障費用を賄うための財政負担と増税は世界的に始まると思われる。世界的に困難な時代に突入する中で日本の足腰は弱い。低賃金が放置され衰えた経済と、経済への刺激を与えるための財源である税金が少ないままでこの時代を迎えてしまった。

著者の明石順平氏は弁護士であり、労働問題などを専門にされているらしい。弱者への視点を保ちながら、財政問題に対して俯瞰的な見識を獲得するに至ったのは素晴らしい。その明石氏も、今後の日本が直面するであろう経済的財政的困難は想像もつかないという。日本円という通貨も、日本財政という政治手段も、そして日本経済も、どう考えても見通しは暗い。その暗い中を手探りで歩くためには、善意を取り戻すことしかないと思う。本書のテーマに関連して言えば、税に対する考え方を、否定的なものから肯定的なものに変えていくしかないだろう。

税は取られるものではなく、出し合って、みんなで支え合うためにあるもの です。そして、みんなの納得を得るためには、徹底的に情報公開して、使い道 に納得してもらうしかありません。大変な努力が必要ですが、それができて いる国は、幸福度ランキングを見ても日本よりはるかに上にいます。「互いに 信じて支え合う」から幸せなのでしょう。これと対極にあるのが新自由主義で あり、それは、「互いに出し抜き潰し合う」 と表現するのが適切かもしれません。 私はそんな国は嫌です。

財政爆発 アベノミクスバブルの破局 (角川新書)
明石 順平

Published by Atsushi

I am a Japanese blogger in Korea. I write about my life with my Korean wife and random thoughts on business, motivation, entertainment, and so on.

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