大人には、紙の手帳を眺める時間がもっと必要だと思う

最近、久しぶりに紙の手帳を買った。ページを開いて、ただカレンダーをぼんやり眺めているだけなのに、なぜだか「もっと計画的に働かなければ」という気持ちが自然と湧いてくる。 不思議だけれど、同時にとても健全な感覚だと思う。 大人になると、仕事や家庭や将来のことなど、目の前の情報を処理するだけで一日が終わってしまう。スマホのカレンダーも便利ではあるのだけれど、そこには通知やタスクや他人の情報が混ざり込み、どこか“自分の時間”を見失いやすい。 その点、紙の手帳は静かだ。紙の質感、ページの厚み、余白の広さ。そこにあるのは、必要最低限の情報と、手を止めて考えるための空間だけ。予定がぎっしり書かれていなくても、不思議と心が整っていく。 「この空白をどう使おうか」「来月の自分はどこに向かっているだろうか」 そんな問いが、自然と浮かんでくる。 スマホでは起きない感覚だ。効率が良すぎる画面は、考える前に答えを出してしまう。一方、紙の手帳は、考えるための余白を残してくれる。その余白こそが、大人になればなるほど必要になるものだと思う。 忙しいと、未来なんて考えている余裕がないように思えるけれど、実は逆で、少し立ち止まる時間を持った方が、毎日の判断が静かに、確実に良くなっていく。 手帳を眺めている時間は、「仕事していない時間」ではなく、むしろ「自分の未来を整える時間」なのだ。 そんなことを、紙の手帳を眺めながら思った。

営業の9割は「綺麗な心」で決まる——成果を最大化するための“内的OS”をどう作るか

営業の仕事に6年携わってきて、僕はようやく一つの結論にたどり着いた。営業は、テクニックよりも「心の透明度」で決まる。 商品知識でも値段でもロジックでもない。調達の裏側やサプライチェーンの複雑さでもない。 最終的に勝つのは「綺麗な心を持ち続けられる人」だ。 なぜそう言い切れるのか。僕自身、その理由を人生の中で徐々に理解し始めている。 この記事では、営業の成果の9割を決める「綺麗な心」のつくり方を、僕自身の実践から抽象化して共有したい。 細かいテクニックは後回しでいい。まずは “内側のOS”を設計することがすべての始まり だからだ。 1. 営業の目的は「未来を軽くすること」 心が濁る時というのは決まって・焦り・不安・承認欲が膨らんでいる時だ。 だが、営業本来の目的はそんなところにはない。 「自分の力で誰かの問題を小さくし、未来の選択肢を大きくする」これだけだ。 この“目的の軸”があるだけで、心は驚くほど透明になる。メールの文章も、声も、提案の重さも変わる。 毎朝の問いはたった一つでいい。 「今日、自分は誰の未来を少しでも軽くする?」 これだけで仕事に入る前の“心のノイズ”がほぼ消える。 2. 綺麗な心は「仕組み」で作るもの 感情論ではない。“清らかであるべき”という道徳でもない。 綺麗な心は、次の3層の構造で維持できる。 1)第一層:自分の澄み(Self-Clarity) ・今日の目的・大事にしたい姿勢・自分の弱さの認識 これがあると、人に振り回されなくなる。 2)第二層:相手の利他(Other Elevation) 相手の立場・制約・言えない本音を理解する力。綺麗な心の営業は、相手の“説明しづらい苦しみ”を理解しにいく。 3)第三層:誠実の積み重ね(Integrity) 小さな約束を守り続けるだけ。最も地味だが、長期戦では最も強い。 僕の場合、この第三層はもともと強い。だからこそ、第一層の「澄み」を整えると飛躍が起こる。 3. 毎日のOSメンテナンス(たった3つで十分) 綺麗な心を維持するのに、特別な習慣は不要だ。必要なのは 「心のOSの再起動」 だけ。 ① 今日の目的 「誰の未来を軽くするか?」 ② 今日の感謝 「誰に支えられているか?」 ③ 今日の誠実 「何を守ると自分は強くなるか?」 これだけで、営業の“迷い”と“雑念”の7割は消える。 4. 綺麗な心は最高の営業武器になる 綺麗な心を持つ営業は、全方位で強い。 1)相手が安心する 営業の本質は「相手の不安を消すこと」。透明な心は、声・表情・メール文の端々まで滲み出る。 2)長期戦で勝てる 裏表がないから、紹介や指名が増える。 3)意思決定が速い 心が澄んでいると判断が痛くない。迷わない。変に悩まない。 5.Continue reading “営業の9割は「綺麗な心」で決まる——成果を最大化するための“内的OS”をどう作るか”

「Don’t let them get the best of you」という英語表現の意味と使いどころ

日常のちょっとしたストレスや、人間関係のすれ違い。そんな瞬間に英語圏の人がよく口にするフレーズがあります。 “Don’t let them get the best of you.” 直訳すると「彼らにあなたの一番いい部分を取らせるな」。しかし実際の意味はもっとシンプルで、とても実用的です。 意味:相手に振り回されるな、心を乱されるな この表現が伝えるのは、 というメッセージです。 相手の態度や言葉が気に障っても、あなたの気分や行動まで支配させないように――そんなニュアンスが込められています。 どんな場面で使う?(具体例でイメージ) 1. 嫌味を言われたとき Don’t let them get the best of you. Just stay calm.「気にするな、冷静でいろ。」 イライラし始めた友人にかける言葉として自然です。 2. 同僚の態度がストレスなとき Don’t let them get the best of you. They’re not worth your energy.「相手に飲まれるなよ。そんなことのためにエネルギーを使わなくていい。」 “your energy” がポイントで、「あなたの大事なリソースをそんな人に使うな」という励ましです。 3. SNSで批判コメントが来たとき Don’t let them get the bestContinue reading “「Don’t let them get the best of you」という英語表現の意味と使いどころ”

「韓国は棚ぼた独立」論に感じる違和感――歴史の筋を見失った日本の言説へ

日本のSNSでは時折、こんな主張を見かける。 「韓国は原爆投下で日本が敗戦したから独立できた。つまり棚ぼたで解放された国だ」 さらに、 「朝鮮人被爆者も数万人いた。」 と付け加える人すらいる。 これらの言説を目にするたびに、私は強い違和感と怒りを覚える。なぜなら、この二つの主張には共通して「日本の加害の歴史」を都合よく抜き、 植民地支配に抵抗した韓国人の努力を丸ごと消し去る構造があるからだ。 この記事では、感情ではなく事実に基づいて、この問題を整理してみたい。 ■1. 「棚ぼた独立」論が踏みにじるもの 朝鮮半島の人々が1910年から1945年まで黙って支配され続けた、と思っている人がいる。 しかし事実は全く逆だ。 韓国の独立運動は国内・国外・武装・非武装の多層構造で、長期にわたり続いた。 その蓄積があったからこそ、米軍は南朝鮮を軍政下に置いたが、同時に“朝鮮人による自治政府の樹立”を前提に行政の主役を朝鮮人に任せた。これは独立運動の歴史が国際社会に認識されていたからであり、朝鮮が日本の敗戦の“棚ぼた”で独立したという説明は歴史的に誤りである。 もし本当に無抵抗で、主体性のない社会だったなら、米軍はもっと短絡的な軍政を敷いていただろう。 つまり、朝鮮半島の独立は「敗戦の結果として自動的に転がり込んだもの」ではなく、 独立を求める運動が国際社会に認識されていたから成立したという筋道がある。 棚ぼたなどでは断じてない。 ■2. 朝鮮人被爆者は「日本の被害者」論のための道具ではない 次に、「朝鮮人も被爆した」という主張について。 それ自体は事実だ。広島や長崎には数万人の朝鮮人が動員されており、多くが犠牲になった。 しかし、ここで決定的に重要なのは次の点だ。 なぜ朝鮮人がそこにいたのか? 理由は一つしかない。 日本が植民地支配のもと、朝鮮人を徴用・徴兵・強制動員したからだ。 三菱重工などの軍需工場には朝鮮人労働者が多数集められていた。自ら望んで日本に来たのではない。 つまり、朝鮮人被爆者の存在が示しているのは、 「日本もかわいそうだから同情してほしい」 ではなく、 「日本の加害構造の中で、最も弱い立場の人々が最大の被害を受けた」 という現実だ。 被爆者を“日本の被害者性”を補強するために利用するのは、歴史の因果関係を逆転させる危険なロジックである。 ■3. 因果関係を整理すれば、日本の責任は明白 感情論ではなく、因果関係だけを並べる。 これを「全部日本が悪い」と感じるのは、道徳ではなく歴史構造の理解として正しい。 もちろん現代の日本人が個人として責められるべきではない。しかし、歴史の中で誰が何をしたのかは変わらない。 ■4. この問題は「日韓どちらの味方か」という話ではない これは日本人 vs 韓国人の対立構造ではなく、歴史の筋道を正しく見つめられるかという問題だ。 過去の加害を正確に理解することは、日本の尊厳を傷つける行為ではなく、むしろ成熟した社会として不可欠な態度だと思う。 私は韓国に住み、日本人として仕事をしながら、両方の社会の空気を肌で感じている。 その立場から見ても、「棚ぼた独立」論や「朝鮮人被爆者=日本への同情材料」論は、日本社会自身の歴史理解を貧しくするものだと感じる。 ■結び――歴史を矮小化する言説に流されないために 歴史認識は国民感情に影響する問題だが、SNSでよく見られるような軽率で選択的な言説は、議論を不毛にし、尊厳ある対話を難しくしてしまう。 朝鮮半島の独立も、原爆投下も、その背景には複雑で痛ましい人間の歴史がある。 それを単純化し、都合のいい形に歪める言説にはこれからも断固として異議を唱えたい。

峯岸博論考の「設計図」を暴く

――“嫌中・反米”を梃子に日本を押し上げる物語 ■ はじめに 日本経済新聞の編集委員・峯岸博による「韓国・慶州に舞う嫌中・反米の風、日本を高みに吹き上げる」という記事は、一見すると韓国情勢の分析のように見える。だがよく読むと、そこには「日本を中心に据え直す物語」を組み立てる意図的な構成がある。これは筆者が呼ぶところの「コリア・ハンドラー」的言説――旧宗主国意識に基づき、朝鮮半島を再び日本の勢力圏的文脈に戻そうとする“言論上の工作”――の典型だ。 1. 「風」で始まり「風」で終わる記事構造 記事のタイトルにある「嫌中」「反米」「風」は、いずれも感情語である。しかし、本文で示される事象はそれぞれ異質だ。 これらを「一つの風」に束ねるのは、分析ではなくレトリックだ。現実の韓国社会では、外交・労働・貿易の文脈はまったく別の層で動いている。それを“民心”という曖昧な言葉で一括りにすることで、政治を感情劇にすり替えている。 2. データの使い方が恣意的すぎる 峯岸は「EAIの調査で中国への否定的認識が71.5%」と書く。これは事実だが、質問内容や年度の推移に言及しない。数値を一枚切りにして「嫌中」という感情の証拠に使うのは、社会科学的な分析ではなく政治的な演出だ。 同様に、李在明大統領の支持率が「外交が不支持理由の首位」とするくだりも、実際の世論調査の設問や時期差を無視しており、“外交=不人気”という物語を補強するための道具化にすぎない。 3. 因果の飛躍 ― “だから日本が上がる” 記事後半の転調は見事に「コリア・ハンドラー」的だ。“嫌中”“反米”を踏み台に、「日本のポジションが上がる」と結論づける。その根拠は薄く、数字も成果も出てこない。ただし読者の心理には「日本はまだ頼られている」という快感だけが残る。 極めつけは「原子力潜水艦建造の承認」までを“風”の副産物のように書く点だ。国家戦略級の安全保障決定を“空気”の流れで説明する――これこそ旧宗主国的マインドの象徴である。 4. 「民心」という万能の呪文 峯岸は繰り返し「韓国の民心が外交を揺さぶる」と書く。しかしこの言葉は便利すぎる。民主主義社会の世論や政策決定を“気分”で説明することで、韓国の政治的主体性を奪い、常に「感情で動く国」として描く。一方で日本の政策判断は「現実主義」として高みに置かれる。これがまさに「コリア・ハンドラー」言説の根っこにあるヒエラルキー構造だ。 5. 「日本の正常化」を“自然現象”に見せるトリック 記事終盤、「嫌中」「反米」の風が日本を“高みに吹き上げる”と書く。ここで日本の首相交代、高市早苗政権、靖国参拝、安倍継承といった右派的要素が登場するが、それらは安全保障の強化=自然な流れとして処理される。つまり、 6. もし本当に分析するなら 本来、ジャーナリズムなら以下の三点を分けて書くべきだ。 だが本稿はそれを避け、“感情の風”で物語を閉じる。分析を装った物語の操作である。 7. まとめ ― 「風が吹けば日本が儲かる」 峯岸の筆は上手い。構成もテンポも読みやすい。だが、その物語構造は「韓国の混乱 → 日本の高み」というワンパターンであり、読者の“安心感”を装った旧宗主国的願望にすぎない。 つまり―― 風が吹けば、日本が儲かる。 この単純な構図こそ、「コリア・ハンドラー」的言説の最も危うい魅力である。

【韓国経済新聞 解説】オープンAI×AMD提携で半導体業界激震――最大の受益者はサムスン電子か?

2025年10月11日付の韓国経済新聞(강해령記者)の記事によると、人工知能(AI)業界を代表する OpenAI と AMD(アドバンスト・マイクロ・デバイセズ) が、前例のない規模のAI半導体パートナーシップを発表した。 両社は、6ギガワット(GW)級の超大型AIデータセンターをAMD製のAIチップで構築する契約を締結。これまでNVIDIAの独占状態だったAI半導体市場に、AMDが本格的に参入することとなり、「AIチップ二極化時代」の幕開けを告げるニュースとして注目を集めている。 サムスン電子は“最大の受益者”となるのか 記事によると、AMDの最新AIチップ「MI450」には、サムスン電子が供給するHBM(高帯域幅メモリ) が採用される可能性が非常に高いという。 サムスンはすでにAMDに対し、HBM3E(12層構造)を大量供給しており、今後登場する次世代品 HBM4 においても、AMDとの共同開発を進めている。つまり、OpenAIとAMDの提携は、サムスンのメモリ事業にとって直接的な追い風 となる可能性が高い。 記者による推計:1GWデータセンターに必要なHBMは約400万個 韓国経済の記事では、OpenAIが建設する1GW規模データセンターのGPU・HBM需要を具体的に試算している。 HBM4(12層)単価を500〜600ドルと仮定すると、1GW分で約2.8〜3.4兆ウォン(約3,000億円前後)の規模となる。 さらに、OpenAIとAMDの契約が5年間・6GW規模で継続する場合、サムスンのHBM関連売上は最大20兆ウォン(約2兆円)に達する可能性があると試算している。 ファウンドリー事業にも波及の可能性 現在、AMDのGPUは主にTSMCで製造されているが、米国政府による「半導体の国内生産強化」方針を受け、将来的にはサムスンの米国ファウンドリー(テキサス州など)で一部チップを委託生産する可能性もある。 サムスンがHBMメモリ+ファウンドリーの両面でAMDと関係を深めれば、TSMC一強体制への強力な対抗軸を築くことも不可能ではない。 まとめ:AI時代の「同盟構造」再編が始まった OpenAI×AMDの提携は、単なる製品供給契約ではなく、AIインフラの地政学的バランスを変える可能性を持つ動きである。 NVIDIA中心の構造に“AMD+サムスン”が食い込むことで、半導体業界の勢力図は新たなフェーズに突入した。サムスンにとっては、AI時代における「メモリ王国」から「AIプラットフォームの核心プレイヤー」への進化を示す転換点となるかもしれない。 📰 出典:韓国経済新聞(한경)記事タイトル:「반도체 뒤흔든 ‘충격 발표’…’수혜자는 삼성?’ 기대감 폭발」発行日:2025年10月11日記者:강해령(カン・ヘリョン) https://www.hankyung.com/amp/202510112163i

韓国政府、ブロックチェーンを国家インフラに──「ブロックチェーン基本法」制定へ

2025年10月10日付の韓国経済新聞は、韓国政府が**「ブロックチェーン基本法(仮称)」**の制定を本格的に進めていると報じました。 この記事は、韓国のデジタル行政戦略の中でブロックチェーンがどのように位置づけられているのかを理解するうえで、非常に重要な一歩を示しています。 (参考:韓国経済新聞「블록체인 기반 공공 서비스 열린다…정부 ‘블록체인 기본법’ 추진」2025年10月10日) https://www.hankyung.com/article/2025101017311 国家主導の「ブロックチェーン・プラットフォーム」構築へ 主管は科学技術情報通信部(日本の総務省+経産省のような役割)。 同省は、これまで暗号資産の基盤として注目されてきたブロックチェーン技術を、公共サービス全般に応用するための国家レベルの基盤技術として制度化する方針を固めました。 その中心にあるのが、**「国家共用ブロックチェーンプラットフォーム」**の構想です。 これは、各自治体や省庁が個別にシステムを開発する代わりに、共通の国家インフラとしてブロックチェーンを活用できるようにするもの。 地域通貨、公共バウチャー(給付金やクーポン)、オンライン投票、電子身分証などの行政サービスを、安全かつ透明に管理することが可能になります。 「ブロックチェーン基本法」の内容と目的 報道によれば、法案の骨子は次のようなものです。 背景にある課題:仮想通貨依存からの脱却 これまで韓国では、ブロックチェーンというと「仮想通貨」や「잡코인(雑多なコイン)」というイメージが先行し、 技術そのものの社会的評価は決して高くありませんでした。 その結果、公共サービスや行政システムでの活用はほとんど進まず、法的根拠の欠如が導入の壁となっていました。 今回の「ブロックチェーン基本法」は、この状況を根本から変える「産業振興型の法整備」といえます。 実証プロジェクトと今後の展開 科学技術情報通信部は、法案の国会提出に先立ち、2026年から複数の実証プロジェクトを計画しています。 その中には以下のようなテーマが含まれています。 官民連携を通じて、国内で成功事例を積み上げ、将来的にはアジア諸国への**「電子政府システム輸出」**を視野に入れています。 海外との比較:ブロックチェーンの社会実装競争 記事では、欧州連合(EU)が「Gaia-X」プロジェクトにブロックチェーン技術を採用していること、 米国では**「Blockchain-as-a-Service(BaaS)」**という、クラウド型のブロックチェーンサービスが急速に普及していることにも言及しています。 韓国政府も同様に、**「自国主導でのブロックチェーン標準確立」と「産業輸出の基盤づくり」**を狙っているとみられます。 結論:デジタル国家・韓国の新たな布石 韓国はこれまで、電子政府やデジタル行政の先進国として国際的に高く評価されてきました。 今回の「ブロックチェーン基本法」構想は、その延長線上にある**「信頼性と透明性の確保」**を目的とした国家戦略です。 単に暗号資産を規制するための法律ではなく、 ブロックチェーンを行政・金融・社会基盤の共通インフラとして整備するという点に、この構想の本質があります。 編集後記 ブロックチェーンは「技術のための技術」ではなく、社会の信頼を支える仕組みへと進化しています。 韓国のこの試みは、デジタルガバナンスを次の段階へと押し上げる、静かな革命の始まりと言えるでしょう。

正しい考えこそ、歩合制営業マンの最大の武器

営業マンにとって成功の条件は何か。スキル、商品力、人脈、タイミング…。もちろんどれも大事です。しかし歩合制で生きる私にとって、もっとも根本的で、すべてを左右する要素は 「正しい考え」 です。 私は断言します。正しい考えがなければ、成功しても長続きしない。逆に、正しい考えさえあれば、失敗しても立ち上がり、長期的に成果を積み重ねていけるのです。 「正しい考え」とは何か? 私が考える「正しい考え」を一言で表せば、こうです。 「他人や社会を善いものだと信じること」 この信念を前提に生きることが、営業マンとしての私の生き方の核心です。 正しい考えがもたらす力 1. 他人を善人と信じる 相手を疑わず、まずは信じる。すると自然と「与える」姿勢になれる。Giveをする人には情報や案件が集まり、ビジネスが加速する。また、他人を善人と信じることで「失敗して責められても気にならない」し「他人の失敗を責めようとも思わない」。余計な攻撃心から解放される。 2. 社会を善い場所と信じる 「どうせ社会は不公平だ」と思えば努力は無意味になる。しかし「社会は善い場所だ」と思えば、自分の努力が必ず価値に変わると信じられる。その信念が日々の営業活動を支える燃料になる。 3. 未来は善くなると信じる 短期的に成果が出なくても、「未来はもっと善くなる」と思える人は嫉妬しないし、腐らない。未来に希望があるからこそ、自己投資や顧客への投資をためらわない。 誤った考えが生むもの 一方で、「他人は敵」「社会は奪い合い」「未来は衰退する」と信じてしまえばどうなるか。怠惰、他責、嫉妬、攻撃心…。これらの悪癖が顔を出し、短期的に成果を上げても、必ずどこかで行き詰まる。 生き方の宣言 だから私は営業マンとして、こう宣言します。 私は、他人を善人と信じ、社会を善い場所と信じ、未来を善くなると信じる。この「正しい考え」をもって、顧客に与え、仲間と協働し、未来に投資する。失敗や裏切りすらも、成長と成功に至る道の一部だと捉える。 歩合制営業は、成果がすべて。だからこそ、目に見えない「考え方」こそが最大の武器になる。私は今日も「正しい考え」を携えて、営業の現場に立ち続けます。

年収10億ウォンを目指して——営業マンとして韓国で5年間、100億円規模を売った話

韓国で外資系半導体商社に勤める日本人営業マンが、未経験から5年で累計売上100億円規模を達成。Inside Salesの工夫と子育てとの両立、そして年収10億ウォンを目指す次のステップを綴ります。 2020年7月、僕は韓国である外資系の半導体商社に入社しました。 それまで日本でキャリアを積んできた僕にとって、それは「生活の場としての韓国」から「仕事の場としての韓国」への本格的な移行でした。  当時はまだ子供もいませんでした。けれど、人生を大きく動かすタイミングだったことは間違いありません。 あれから5年が経ち、累計売上は100億円規模に達しました(実績ベースで63ミリオンドル超。為替によってはこれを上回ることもあります)。 中小企業から大手メーカーまで、200社以上とやり取りを重ね、案件を一つずつ積み上げてきた結果です。 今回は、そんな僕の5年間の営業人生を、少し振り返ってみようと思います。 1. 韓国で外資系に転職した理由 大学卒業後、日本の大手メーカーで働きながら、僕は「どうすれば韓国に移住できるか」をずっと考えていました。 きっかけは、韓国人の妻と結婚を見据えた将来設計です。 語学留学、ソウル大学の英語MBAプログラム、スタートアップでの経験を経て、ようやくたどり着いたのが現在の会社でした。 業界は半導体のB2Bトレーディング。世界中の在庫を探し、日本や韓国などのメーカーに納品するという、スピードと信頼が命の仕事です。 面接で言われた一言、「営業経験ゼロでも、数字で示せればチャンスはある」。 この言葉が、僕の次の5年を決めました。 2. 売上100億円規模をつくるまでの5年間 最初の1年は本当に苦しかった。 業界知識もなければ、調達ルートもなく、何より日本の大手メーカーに電話をかけること自体が怖かった。 でも、ある日ふとしたきっかけで出した1件の見積が通り、初受注につながった。 そんなある日、西日本で発生した半導体工場の火災が転機となった。 それまでまったく相手にされなかったような大手企業から、逆にこちらに見積もり依頼が届くようになったのです。 この火災をきっかけに、業界全体が不安定になり、「いつもの調達ルートに頼れない時、誰に相談するか」が問われる時代が始まりました。 もちろん、運の要素は大きかった。 でも、僕はその運を掴めるよう、日々淡々と「断られても連絡を続ける」営業活動を続けていた。 だからこれは、運だけではなく、自分の実力だと信じたい。 数字で言えば、累計で100億円に迫る売上(63ミリオンドル超)。僕にとっては、ただの金額ではなく、信頼と執念の積み重ねです。 3. Inside Salesの現場で実践したこと 僕の仕事は**Inside Sales(内勤営業)**です。 電話・メール・チャット・Zoomを使って、すべてをリモートで完結させるスタイル。 最初は「訪問しない営業って信頼されるの?」と不安でしたが、結論から言えばむしろ効率が良く、深い関係も築けます。 以下は、僕がこの5年で特に意識してきたことです: 大きな案件は、技術よりも信頼が決め手になることが多い。 その信頼を、画面越しでも築けるように、細部まで丁寧にこだわってきました。 4. 双子の父として、働くということ 営業が板についてきた頃、僕の人生には新しい転機が訪れました。 双子の男の子が誕生したのです。 出産後すぐの2週間は산후조리원(産後ケア施設)を利用し、その後はシッターさんにも助けられながら、夫婦二人三脚で子育てをしてきました。 でも、やはり大変。定時で仕事を終えた後に、もう一つの仕事が始まる感覚。 「自分の時間がない」なんて嘆いてる暇もなく、 日々を乗り越えることが、最大の成果になっていきました。 それでも、自分の仕事にプライドを持ち続けられたのは、 「父であること」「営業であること」「学び続けること」 この三つを、どれも諦めずに生きると決めたからです。 5. 次の5年へ——年収10億ウォンと、その先へ 営業という仕事は、成果がすべてです。 だからこそ、次の目標は明確に掲げたい。 「年収10億ウォンを毎年、安定して得られる仕組みを持つこと」 それが、今の僕の人生設計のゴールです。Continue reading “年収10億ウォンを目指して——営業マンとして韓国で5年間、100億円規模を売った話”

イジュンソク氏について:韓国民主化と現在の政治動向

1. 盧武鉉大統領の政治的背景と民主化運動との関係性 盧武鉉(ノ・ムヒョン)は人権派弁護士出身であり、1980年代の軍事独裁政権下で民主化運動に深く関与しました。彼は釜山地域での代表的な冤罪事件「부림사건(釜林事件)」の弁護を1981年に担当し、この頃から権威主義体制への抵抗に身を投じ始めます 。1985年には釜山民主市民協議会(부민협)の結成に参加し、1986年頃から弁護士業をほぼ中断して民主化運動に専念しました。特に1987年6月民主抗争(6月抗争)では、全国的な民主憲法争取国民運動本部(国本)の釜山本部で常任執行委員長を務め、釜山における民主化デモの先頭に立ち「호헌철폐! 독재타도!(護憲撤廃!独裁打倒!)」といったスローガンを叫びながら行進する姿が記録されています 。このように**「釜山民主化闘争の野戦司令官」**とも称される活躍を通じ、盧武鉉は民主化運動家として名を馳せました 。 大統領在任中(2003–2008)の盧武鉉は、市民社会との協働と民主主義の深化を掲げ、「参与政府(パートナーシップ政府)」を標榜しました。彼は権威主義的な政治文化を打破し、国民参加型の政治を目指しており、「민주화 이후 남아있던 권위주의 제도와 문화를 청산한 것」こそが参加政府の最大の業績だと評価されています 。実際、盧政権は検察・国家情報院・警察・国税庁など権力機関の政治的中立化を図り、長年続いた「3金政治」に代表される腐敗・縁故主義の清算に努めました 。また盧武鉉は、市民社会を民主政治の重要なパートナーと位置付け、「80年代以降、市民社会は国政を導く主体となった。それにふさわしく代案を出す活動をしなければならない」と5・18記念式典で述べ、成熟した市民社会が建設的提案を行い合意形成に寄与するよう期待しました (「80年代以降、市民社会は国政を導く主体となった。それに見合った代案を提示する活動をすべきだ」という趣旨)。盧武鉉自身、民主化運動から得た理念を「참여民主주의(参与民主主義)」として継承しようと努めており、退任直前のインタビューでは「6월항쟁은 내 존재의 근거」(「6月抗争は私の存在の根拠だ」)とまで語っています 。この発言は、1987年の民主化運動である6月抗争こそが自らの政治的原点であり正統性の源泉だという強い認識を示すものです。 2. イ・ジュンソク氏の主要な政治的言動とその社会的影響 李俊錫(イ・ジュンソク)は、2010年代から台頭した若手保守政治家であり、斬新なメディア戦略と言動で注目を集めてきました。彼の主張の中でも特に物議を醸したのが、女性家族部の廃止提案と各種クオータ制(割当制度)への反対です。李氏は「女性や青年に対する優遇措置はかえって不公平を生む」と主張し、2021年の保守野党党代表選挙討論でも「기존 ‘파이’를 여성과 남성이 나누는 할당제는 불공정을 야기할 수 있다(既存のパイを男女で分け合うような割当制は重大な不公正を招きうる)」として公然と女性割当制廃止を訴えました 。彼は「女性の社会参加は増やすべきだが、それは労働環境の改善によって達成すべきであり、既存のパイの取り合いになるクオータ制とは区別すべきだ」と強調しています 。このような主張は一部若年層男性の共感を呼ぶ一方、女性層や進歩派から「逆行的」であると強い批判を受けました。 李俊錫の**「20代男性(いわゆる‘イデナム’)へのアピール戦略」は韓国社会に大きな波紋を広げました。2021年ソウル市長補選で20代男性の72.5%という圧倒的支持が保守候補に集まると、当時選対幹部だった李氏はSNSに「20대 남자. 자네들은 말이지…(20代男性、君たちは…)」と投稿して若年男性を勝利の立役者として称賛しました 。これ以降、政治圏では彼の「성별 갈라치기」**(ジェンダーで世論を割る)戦術が大きな論争となります。彼が主導した「女性家族部廃止」「逆差別是正」といったアジェンダは、一方で20代男性からの支持を集め保守票の底上げに寄与したとの評価もありますが、他方で20代女性を中心に強い反発を招き「逆風」となったとの分析もあります 。実際、2022年大統領選の出口調査では20代男性の約59%が尹錫悦(ユン・ソギョル)保守候補に投票した一方、20代女性の支持はそれよりはるかに低く、男女間の投票行動の断層が顕著でした 。李氏の戦術は熱狂と怒りを同時に引き起こし、韓国社会の性別・世代間対立を浮き彫りにしたと言えます。 李俊錫のSNS発信の特徴もその政治手法の重要な一面です。彼はフェイスブックやユーチューブを駆使して迅速かつ挑発的なメッセージを発信し、既存メディアに頼らず直接支持者と対話・論戦するスタイルを取りました。党内紛争時には深夜にSNSで皮肉交じりのコメントや流行のアニメ主題歌を投稿して含意を示すなど、“키보드 배틀(キーボード戦闘)”に長けた政治家として知られます 。しかしその奔放な発信ゆえに物議を醸すことも多く、特に女性や弱者に関する発言では度々「女性蔑視」批判を浴びました。例えば李氏はインタビュー等で「‘夜道を女性が歩きたくない’というのは被害妄想に近い」とか「2030女性が自分たちが差別されているという根拠のない被害意識を持つようになっている」などと発言しており 、「現実のジェンダー不平等を直視していない」「女性の声を嘲弄している」として進歩派メディアや活動家から強く非難されています(※李氏の発言原文: “(밤에 길거리를) 걷기 싫어하는 이유가 ‘여성이 안전하지Continue reading “イジュンソク氏について:韓国民主化と現在の政治動向”

日経新聞の韓国進歩派への冷笑的論調の背景

1. 日経新聞の編集方針・企業理念・想定読者層 日経新聞は日本を代表する経済紙であり、創刊以来一貫して経済・ビジネス分野に重点を置いてきました。社是は「中正公平、我が国民生活の基礎たる経済の平和的民主的発展を期す」とされており 、経済の安定成長を何より重視する姿勢がうかがえます。また、政治的スタンスも中道右派・保守寄りと評され、国際的には新自由主義的な立場をとると分析されています 。実際、2009年の新聞通信調査会調査で日経の論調は主要全国紙中「やや保守」と位置づけられ、読売(5.6)・産経(5.3)に次ぐ**5.2点(10点=最も保守、0点=最も革新)**という結果でした(朝日は4.4、毎日は5.0) 。このように基本路線は保守寄りですが、「中正公平」の理念も掲げており露骨なイデオロギー色は抑えています。 日経の想定読者層は経営者・管理職などビジネスエリートが中心で、読者世帯の平均年収は他紙より高く、大卒以上の割合も全国紙トップです 。このビジネス志向の読者層に合わせ、紙面は政治・外交問題でも経済的影響や国益を軸に報道する傾向があります。政府・財界との結び付きも強く、自民党政権とは政策面で比較的協調関係にあると指摘されています。実際、安倍政権期の経済政策「アベノミクス」には概ね肯定的で、財政・金融政策の路線でも日経は政府と歩調を合わせる論調でした。また、防衛・安全保障面でも現政権の軍備増強路線を後押しする報道が目立ち、ジャーナリストの望月衣塑子氏は「日経新聞は産経新聞顔負けの記事を打つようになった」とその傾向に警鐘を鳴らしています 。このように経済紙としての性格と政権・企業との近さが、日経の基本トーンを形作っています。 2. 韓国報道における日経の特性 対韓国報道のスタンスも日経の基本方針に沿ったものです。他の日本メディアと比較すると、日経は経済・安全保障の観点から韓国情勢を分析し、保守系寄りの現実主義的論調を取る点が特長です。他方、朝日新聞や毎日新聞はリベラル傾向で韓国側の主張にも一定の理解を示す論調が多く、産経新聞は歴史問題などで韓国進歩派に極めて批判的・保守ナショナリスティックな論調が目立ちます。日経はその中間に位置すると言えますが、総じて保守寄りであり、朝日・毎日ほど韓国に共感的ではなく、産経ほど極端な表現もしないというバランスです。ダイヤモンド社の分析によれば、2018年頃の日韓対立局面では朝日・毎日ですら文在寅政権に厳しい意見を述べており、各紙とも自国政府寄りの「増幅装置」として機能した面があるとされています 。その中で日経も日本政府の立場を強く反映し、韓国進歩政権への批判的論調を展開しました。 日経ソウル支局の取材体制にも特徴があります。通信社を除く日本メディアでは比較的長期にわたり人員を配置しており、経済専門紙だけあって韓国経済の分析報道に強みがあります。歴代ソウル特派員・支局長には玉置直司氏(著書『韓国はなぜ改革できたのか』『韓国財閥はどこへ行く』等)や鈴置高史氏(後述)など韓国通が名を連ねました 。特に近年注目すべきは峯岸博論説委員の存在です。峯岸氏は元ソウル支局長で韓国駐在6年半、訪朝7回の経験を持ち、朝鮮半島情勢に精通した論客です 。著書に『韓国の憂鬱』『日韓の断層』を持ち、日経電子版でニューズレター「韓国Watch」を隔週配信するなど、韓国報道のキーパーソンとなっています 。峯岸氏をはじめとする記者たちは、韓国の政治・社会を長年観察する中で日経らしい現実主義の観点から分析記事や解説を発信しており、その論調は本社の社説・記事にも反映されています。過去を振り返ると、1980年代にソウル特派員を務めた鈴置高史氏(2018年退社後も韓国観察者として執筆)も、日経在籍中から韓国の動きを辛口に分析するコラム「早読み 深読み 朝鮮半島」を展開していました 。こうした人材の系譜が日経の韓国報道を支え、他紙との差異を生んでいます。具体的には、朝日・毎日が人権や歴史問題で韓国側の主張に一定の理解を示す局面でも、日経は経済合理性や外交儀礼を重視する立場から冷静に批判・注文を付けることが多いです。逆に産経新聞ほど感情的・挑発的な表現は避け、事実関係の分析に基づきつつ韓国側の問題点を指摘するスタイルを取っています。この点で、「ビジネス寄りの理論派保守メディア」としての日経の色彩が韓国報道にも表れていると言えるでしょう。 さらに、日経は韓国国内の保守系メディアとの交流も一定程度持っています。例えば韓国有力経済紙の毎日経済新聞とは、人材研修で協力した経緯もあり 、韓国経済ニュースの相互配信(NikkeiテレコンにMK英字ニュース収録)など関係を築いてきました。このため経済分野の情報交換や視点の共有があり、保守系・財界寄りの視点を持つ韓国メディアとは報道姿勢に共通点も見られます。一例として、文在寅政権下で日経が報じた経済失政批判(後述)は、韓国保守紙の朝鮮日報も詳細に紹介し論拠としました 。こうした部分でも日経の韓国報道は他の日本紙と一線を画し、経済紙らしいネットワークと観点を活かしていると言えます。 3. 日経の重視する「現実主義・経済合理性」と韓国進歩陣営の理念政治の齟齬 日経新聞の論調の核にあるのはリアリズム(現実主義)と経済合理性です。国家間の約束や経済政策は「損得勘定」「安定性」「一貫性」で判断され、情緒的な揺らぎやイデオロギー優先の動きを嫌う傾向があります 。これと韓国進歩陣営の政治スタイルとの間にしばしば齟齬が生じます。文在寅・盧武鉉両政権に代表される進歩系は、歴史認識や対北融和、急進的な経済改革など理念や大義を掲げた政治を展開しました。例えば「積弊清算」や財閥改革、最低賃金大幅引上げ、過去の日本統治に関する強硬姿勢(慰安婦合意の見直しや徴用工問題での厳格対応)などが挙げられます。これらは韓国国民の声を背景にした価値志向の政策ですが、日経から見ると時に「理想論が先行しすぎて現実的配慮に欠ける」と映ります。 実際、日経は文在寅政権の動きに対し「感情的」「未熟」とも取れる評価を繰り返しました。象徴的なのが2015年の日韓慰安婦合意をめぐる対応です。文在寅政権が2018年に合意検証を行い事実上の見直し方針を示すと、日経は社説で「日韓合意の精神を骨抜きにする内容で極めて遺憾だ」と断じ、韓国側の態度を「慎重さと一貫性を欠く」と批判しました 。さらに「相互不信が深まれば北朝鮮の思うつぼだ。韓国の文政権には慎重で一貫性のある外交を進めてもらいたい」と注文を付けており 、感情に流されず現実を見据えよというメッセージが明確です。「慎重で一貫性ある外交」とは裏を返せば、進歩政権の外交が場当たり的で感情に振り回されているとの批判に他なりません。 また、経済面でも日経は文在寅政権の経済政策を経済合理性の欠如という観点から批判しました。2018年11月、日本経済新聞は「韓国の経済政策が一段と迷走してきた。主要経済指標が軒並み悪化。雇用も増えない。景気の減速感がさらに強まる」と論じ、文政権の看板政策である「所得主導の成長」が軌道に乗らず失速していると報じました 。さらに文大統領が経済司令塔2人を更迭した人事にも触れ、テコ入れ策に乗り出したことを紹介しています 。同じ記事で日経は「危機感を強める経済界は政府に規制緩和を要請。文政権は企業に歩み寄る姿勢もみせている。だが、大幅な軌道修正は支持基盤である労働組合などの反発を招きかねず、難しいバランスを迫られているのが実情だ」と分析しました 。ここには、政府の分配重視政策が非現実的であり結局は市場原理・企業寄りに修正せざるを得ない状況を皮肉交じりに描写するトーンがあります。「迷走」「難しいバランス」といった表現から、日経が文政権をいかに冷ややかに見ていたかが読み取れます。 こうした「感情的」「未熟」といった形容は紙面上で直接使われることは稀かもしれませんが、日経の論調全体からにじみ出る評価として進歩陣営に投げかけられています。例えば日経ビジネスオンラインなどで韓国情勢を論じていた元編集委員の鈴置高史氏は、文政権の対日・対米姿勢を「幼稚なバランス外交」と批判し、日本は相手にしなくなっているとする論調を展開しました(鈴置氏「韓国に対する日本の無視」等のコラムより) 。鈴置氏は日経退社後も保守系メディアで韓国批評を続けていますが、彼の見方は在職中の日経紙面のトーンとも通底しており、「韓国進歩派=稚拙で信頼しにくい」というフレームが存在することを示唆しています。総じて日経は**「安定・協調路線こそ合理的」**との信条から、進歩陣営の理想主義的な政策を現実離れしたものと捉え、そのギャップが冷笑的態度として表れていると考えられます。 他方で、日経は全ての韓国政権に否定的というわけではありません。むしろ保守系政権に対しては安定志向や市場重視の点で親和的です。朴槿恵政権時代には韓中接近への警戒感を示しつつも経済協力には理解を示したり、李明博政権時代にはFTA推進など市場改革を評価する記事も見られました。直近では尹錫悦政権による日韓関係改善策(徴用工問題の解決策提示やGSOMIA復元など)に対し、日経は「関係改善を歓迎する。韓国の現実的判断を評価する」といった肯定的な論調を示しています(2023年3月7日社説「韓国の決断を日韓協力深化につなげよ」等)。つまり日経が批判するのはあくまで「非現実的」と映る進歩政権の言動であり、逆に日経の価値観に沿う動きを見せる韓国政府には好意的なのです。この点もまた、日経の論調がイデオロギーというより「現実路線か否か」で決まっていることを物語っています 。 4. 韓国読者や韓国メディアから見た日経の論調評価 韓国側でも日経新聞の報道はしばしば引用・話題に上りますが、その評価は読む立場によって大きく異なります。 まず、韓国の進歩系メディア・読者から見た日経の論調は「日本保守層の代表的な見解」と映る傾向があります。リベラル紙のハンギョレ(韓国語版)などでは、日本の主要紙が慰安婦合意を支持・歓迎した事実に触れ「日本の進歩的メディアですら韓日合意の一方的履行を求めた」と失望を表明する声もありました 。例えば2015年末の慰安婦合意直後、日本の朝日新聞や毎日新聞(国内ではリベラル紙と分類されます)でさえ合意を高く評価し歓迎論を展開したことは、韓国進歩層にとって衝撃でした 。この文脈で日経はむしろ読売・産経に近い立ち位置と認識されており、「結局、日本メディアは左右関係なく自国政府寄りで韓国に冷淡だ」という印象を与えています。韓国の進歩派から見ると、日経の論調は冷笑的というより冷酷で偏ったナショナルな視点に映ることもあるでしょう。ハンギョレや京郷新聞といった進歩系メディアでは、日経を名指しして批判する記事は多くないものの、日本経済新聞を含む日本メディア全般が韓国の事情に十分な理解を示さず、自国中心の報道をしているという論調は散見されます(例:「日本のリベラルですら慰安婦合意を支持した」という嘆き )。 一方、韓国の保守系メディア・読者にとって日経新聞は参考に値する有力外国メディアです。特に日経の経済分析や政権批評は、韓国保守層が自らの主張を補強する材料としてしばしば利用します。朝鮮日報や中央日報など保守紙は、日本発のニュースを伝える際に日経の記事を引用・翻訳することが多く、文在寅政権期には日経の政権批判記事が何度も紹介されました。例えば朝鮮日報は2018年11月、「『韓国の経済政策迷走』と日経が報道」との見出しで日経記事の内容を詳細に伝えました 。そこでは日経による韓国経済指標のグラフ分析や「文政権の左翼的経済政策の失敗」といった論評をそのまま掲載し、韓国国内でも大きな話題となりました。実際に、文政権の経済ブレーンであった金広斗・国民経済諮問会議副議長はこの日経記事のグラフを自身のSNS(Facebook)でシェアし、「見たくないが見据えるべき現実だ」とコメントしています 。これは野党からの批判を受け止めた形で、日経の指摘が韓国国内の政策議論にも影響を与えた例と言えます。 また、政治分野でも2019年前後の日韓対立激化時には、日経の論調が韓国で注目されました。徴用工判決や輸出管理問題で日経は一貫して韓国側の対応を問題視する記事を出しましたが、これに対し韓国の保守系論客は「日本の有力紙でさえ韓国政府を信頼していない」として文政権批判に引用しました。逆に進歩系論客は「日本メディアは偏見に満ちている」と反発し、韓国国内の世論は割れました 。尹錫悦政権が発足した現在では、日経は尹大統領の対日接近を歓迎する報道を行っており、韓国保守層から「さすが経済紙、現実を評価している」との声がある一方、進歩層からは「日本は尹政権に都合の良いことしか報じない」と冷ややかに受け止められています。 総じて、韓国における日経の評価は二極化しています。経済・安保の観点から冷静に韓国を論じる媒体として一目置かれる反面、進歩派に対しては上から目線の批評が多いメディアという印象も持たれています。韓国メディア自身、日経の論調をウォッチしており、その内容が韓国国内政治の論争に利用されることもしばしばです。例えば、日経が「尹錫悦政権の外交は現実的だ」と評価すれば保守派は歓迎し、日経が「文在寅政権の対応は感情的だ」と批判すれば進歩派は反発するといった具合です。日経新聞は日本国内だけでなく韓国でも影響力のある外国メディアとして位置付けられており、その論調は韓国の新聞・テレビでも紹介され政治家の発言にも引用されます。しかしその受け止め方は、韓国社会のイデオロギー対立を反映して正反対となりがちです。 要約すれば、韓国の読者・メディアから見た日経の論調は「日本の保守エスタブリッシュメントの代弁者」という色彩が濃く、進歩陣営には否定的・懐疑的、保守陣営には共感的に映ります。その評価は韓国側の立場によって賛否両論ですが、日経の記事が韓国の政策決定や世論形成に影響を与える場面も確認でき、決して無視できない存在として認識されています。 総合的な結論 日経新聞が韓国の進歩系勢力に対して冷笑的・懐疑的な論調をとる背景には、日本の経済新聞としての立場と価値観と韓国進歩政権の政策スタイルとのギャップが横たわっています 。日経は経済の安定・発展を至上命題とする企業理念を持ち、読者も企業幹部層が中心です。そのため、政治外交においても経済合理性や国際協調(日本の国益に適う安定路線)を重視し、日本政府(特に自民党政権)の主張に沿った視点で論評しがちです。Continue reading “日経新聞の韓国進歩派への冷笑的論調の背景”

日経論説に見る韓国民主化史への軽視・歪曲:背景と偏向の分析 日経新聞の企業理念と報道スタンス(過去10年)

日本経済新聞(略称:日経)は経済専門紙として**「中正公平、…経済の平和的民主的発展を期す」との社是を掲げ、公平中立と経済発展を重んじる立場を標榜しています 。読者層は企業幹部や高学歴の社会人が多く平均所得も他紙より高い傾向があり、その利害や価値観と親和性の高い紙面作りが指摘されています 。政治的には主要全国紙の中で保守寄りの論調と評価され、2009年調査では保守的度合い5.2点(0=革新的、10=保守的)と、読売(5.6)・産経(5.3)に次ぐ数値でした 。こうした経緯から経済中心主義で安定成長を優先し、冷戦期には他紙同様に親米・反共**的な姿勢を持ち合わせたとされます (※要検証)。実際、外交安全保障では日米同盟や自由主義経済圏との協調を重視し、韓国を含む東アジア報道でも市場・安全保障の視点が強調されがちです(※要検証)。これは日経の想定読者層(経済人・政策決定層)が共感しやすい価値観に沿った報道姿勢とも言えます(※要検証)。 韓国報道における進歩勢力への扱いの傾向 日本メディアは総じて韓国の進歩(革新)勢力に厳しい論調をとる傾向があります。とりわけ日経などは文在寅・盧武鉉両政権(共に民主党)の歴史問題での姿勢に否定的で、合意変更や司法判断を「一貫性に欠き遺憾」などと批判しました 。2018年、文在寅政権が慰安婦合意検証を行った際、日経社説は「合意の精神を骨抜きにする内容で極めて遺憾だ」と述べ、日韓不信は北朝鮮を利すると指摘して「慎重で一貫性のある外交」を求めています 。また徴用工問題では「国家間の約束は守るというのが国際常識」と主張し、進歩政権の対応を非常識だと論難する論調が目立ちました 。 特に保守系メディアでは進歩勢力への否定的レッテル貼りが顕著です。産経新聞は文政権について「法より『反日』を優先」「常軌を逸している」と非難し、「おかしさを通り越して狂気さえ感じられる」とまで断じました 。これは「感情的反日」に依拠する政権との決め付けであり、進歩勢力を非理性的・過激と見なす典型例です。「感情的」「非現実的」といった否定的形容は韓国進歩派への日本側論評でしばしば見られ、実際に**「文大統領の抗日姿勢は非現実的」との記事見出しさえ存在します 。同記事では日韓双方の世論が歴史問題で極めて感情的になりやすいと指摘され 、文在寅政権による対日強硬発言を「ナショナリスティックな政治的求心力向上策」と分析しています 。一方、韓国保守勢力に対して日本メディアは概して好意的で、協調路線や現実主義を評価する傾向があります。例えば尹錫悦大統領の当選時、朝日新聞は「今度こそ日韓関係改善が軌道に乗りつつあると期待したい」と論じ 、保守政権への政権交代を関係修復の好機として歓迎しました 。尹政権下での対北・対米協調強化策も「確かに不可欠だ」と前向きに捉える論調が見られます 。もっとも、尹錫悦氏個人への評価には警戒も混じり、例えば朝日は先制攻撃論への懸念を示しています 。しかし総じて、日本側では「進歩系政権=反日的で感情的・非現実的」「保守系政権=現実的で協調的」との図式が共有されがちです(※要検証)。実際、2025年韓国大統領補選を前に日本では「李在明氏は文氏の再来か」との疑念が根強いと指摘されており 、進歩派=日韓関係悪化要因との見方が定着していることが伺えます。こうしたバイアスは左派系の朝日・毎日新聞においてすら例外ではなく、2018年前後の対立局面では朝日・毎日でさえ文在寅政権に厳しい意見を述べた**と分析されています 。 峯岸博論説委員の論説傾向と価値観 今回問題となっている日経の峯岸博・上級論説委員は、朝鮮半島情勢を長年取材しソウル支局長も務めた記者で、近著に『日韓の断層』(2019年)や『日韓の決断』(2023年)があります。峯岸氏の論調は徹底したリアリズム志向で、韓国側の理想主義や歴史正義よりも現実的打算やパワーバランスを重視する傾向があります。例えば『日韓の断層』では、戦後築かれた日韓関係が「相次ぐ韓国の判断によって脆弱になってしまった」と述べられており 、慰安婦財団解散や徴用工判決など韓国側の措置が関係悪化の主因だと捉えています(歴史問題での韓国側の正当性主張よりも、関係への打撃という現実面を強調)。峯岸氏は尹錫悦政権の登場についても「過去に縛られる日韓関係を根本的に変える強い決意」を評価しており 、尹大統領が「日本は既に数十回反省と謝罪を表明している」と明言したことを高く評価しています 。これは、歴史問題に区切りをつけ未来志向へ舵を切る現実主義こそ望ましいという峯岸氏の価値観を反映しています。 峯岸論説の文体・語調にはどこか冷めたシニシズムが漂うと評する向きもあります(※要検証)。例えば彼は2020年総選挙時の韓国社会について「与党大敗でも反日が起きぬ静けさ」に言及し、かつてと世情が変化したと論じました 。そこには、韓国の若い世代がもはや反日感情を政治に利用しなくなったとの含意があり、民主化運動を担った旧世代の「情熱」をどこか冷笑的に見ている節もうかがえます(※要検証)。峯岸氏の筆致は一見客観的ですが、背景にあるのは**「理想や感情に流されず現実を直視せよ」**という信条であり、それゆえ民主化運動の歴史的意義や市民感情の高まりに対して距離を置きがちです(※要検証)。こうしたスタンスはまさに「冷笑主義的リアリズム」とも言うべきもので、理想に奔る進歩派政治家への皮肉と、現状追認的な現実主義が同居しています。峯岸氏の2025年5月16日付論説「韓国大統領選、40歳理工系候補に再び脚光」もその文脈で読む必要があり、彼は民主化運動世代ではない若いテクノクラート候補に光を当てることで、従来の民主化史観を相対化しようとしている可能性があります(※要検証)。すなわち、韓国民主化の歴史的経緯よりも「新世代の台頭」や「理工系エリートの躍進」といった別の物語に焦点を移し、その過程で民主化の歴史を軽視・矮小化する構図が生まれていると考えられます(※要検証)。 日本メディア全体の構造的バイアスと各紙比較 日本の主要メディアには構造的なバイアスが存在し、韓国報道でも保守・進歩のどちらに軸足を置くかで論調が偏りがちです。全般的に日本の新聞は自国政府の主張を“コピペ”して国民感情を増幅させる装置と化す側面があり、日韓双方でメディアがナショナリズムを煽る傾向が指摘されています 。具体的には、保守系の産経・読売は韓国進歩勢力に極めて否定的で、先述のように産経は文在寅氏を「狂気」とまで非難しました 。読売新聞も「韓国文政権の態度は外交常識に外れ非礼である」と社説で批判し 、「国家間の約束を守るのが国際常識」と強調するなど 、進歩政権を信頼できない相手として描く傾向があります。一方、朝日・毎日など革新系とされる新聞も、基本的価値観では人権や民主主義への共感を示しつつも、対韓外交では日本政府寄りの現実論を唱える場面が少なくありません 。例えば朝日新聞は朴槿恵大統領弾劾後の2017年韓国大統領選に際し「韓国の有権者が選ぶこと」と断った上で、文在寅政権下で停滞した日韓関係の改善を期待する論調を示しました(※要検証)。また尹錫悦氏当選時には上記のように関係改善への期待を表明しつつ、安全保障面では尹氏の強硬姿勢に苦言も呈しています 。NHKなど公共放送は論評より事実報道が中心ですが、ニュース選択や解説において政府見解を重視する傾向が指摘されます(※要検証)。総じて、日本メディア全体に**「韓国進歩派=情緒的・反日的」「韓国保守派=現実的・協調的」**という図式が構造化しており、報道言説におけるバイアスとして現れています。このバイアスは韓国の民主化運動そのものへの評価にも影響し、民主化の歴史を語る際にも進歩勢力の功績より混乱や対立を強調する論調が散見されます(※要検証)。韓国の民主化史に深い理解を持つ論説は日本では必ずしも主流ではなく、どちらかと言えば経済発展や安全保障上の利害から韓国政治を見る傾向が強いことが、歴史の軽視・歪曲につながりやすい土壌と言えます(※要検証)。 なお、メディア間の違いも付記すると、産経新聞は最も強硬な反韓・反進歩色を打ち出し 、読売は保守政権寄りながらもう少し穏健、毎日新聞は中道的で対韓融和にも理解を示す場合があります(※要検証)。朝日新聞はリベラル志向ゆえ韓国市民社会への共感を示す論説も見られますが、国家間問題では「感情的対立の悪循環は避けよ」など理性的アプローチを訴える傾向があります 。つまり左派紙であっても韓国進歩派を全面支持するわけではなく、日本国内世論との整合を図る傾斜が見られ、この点で日本メディア全体の構造的バイアスが改めて浮かび上がります。こうした偏向は韓国のメディアや識者からも認識されており、韓国側では**「日本では尹政権の一方的譲歩を歓迎する声が支配的で、尹氏退陣には日韓関係悪化を懸念する論調が相次いだ」**と報じられています 。日本メディアの韓国報道が自国の利害に偏っているとの批判は、国際的にも少しずつ共有されつつあると言えるでしょう(※要検証)。 国際的・連帯的視点の補完 以上の偏向に対し、日本国内にも韓国の民主化に共感し連帯してきた人々・団体が存在します。実は1970年代から、日本の市民社会は韓国の民主化闘争を支援しようと動いていました。例えば1974年には「日本の対韓政策を正し韓国民主化闘争に連帯する日本連絡会議」(略称:日韓連帯会議)が結成され、草の根レベルでの日韓連帯運動が本格化しました 。朴正煕政権下での金大中氏拉致事件や、1980年5月の光州事件に際して、日本の市民・宗教者・野党政治家らは韓国の民主化勢力を支援する声明や救援活動を展開しました 。日本キリスト教協議会(NCC)など宗教界も「韓国問題キリスト者緊急会議」を組織し、政治犯救援や世論喚起に尽力しています 。これらの活動は日本政府の対韓姿勢に一定の影響を与え、1980年代以降の民主化移行期において民間レベルでの日韓関係を支える重要な役割を果たしました(※要検証)。 また現在でも、韓国の民主主義を守るために連帯しようという動きは続いています。例えば2024年末の尹錫悦政権による非常戒厳令布告(※要検証)に抗議する韓国市民の運動に呼応し、2025年2月には日本の国会内で「民主主義守る連帯を」と題する集会が開かれました 。この集会には日本共産党の小池晃書記局長や立憲民主党・社民党議員、市民団体代表らが参加し、韓国市民の闘いへの支持を表明しています 。小池氏は「韓国社会の民主主義の強さに敬意を表し、女性や学生、若い世代が中心になっている闘いに連帯していく」と述べ、韓国民主化運動への連帯を誓いました 。さらに日本の市民有志は「私たちは尹錫悦政権退陣民主化闘争に連帯します」とする共同声明を発表し(2025年)、韓国の民主主義回復を後押ししています 。こうした連帯の視点は、日本のメディア報道では埋もれがちな**「韓国民主化への共感と反省」**を掘り起こすものです。韓国の民主化運動は決して他人事ではなく、日本の戦後民主主義とも通じ合う普遍的価値の闘いでした。実際、韓国の市民革命(例えば1987年の民主化宣言)に刺激を受けた日本人も多く、当時の出版物や記録集には日本からのエールが数多く寄せられています(※要検証)。 国際的にも、日本の一部メディアの報道姿勢に対する評価・批判があります。韓国のハンギョレ新聞は、尹大統領の弾劾可決を受けて**「日本では尹政権退陣による日韓関係悪化を懸念する声が相次いでいる」**と伝え、日本側の報道が尹氏寄りであることを示唆しました 。これは裏を返せば、日本メディアが韓国保守政権に期待し進歩勢力を警戒するバイアスを持つと国外からも見做されているということです(※要検証)。一方で、米国や欧州の専門家の中には韓国の民主主義成熟を評価し、日本にも学ぶべきとの指摘をする者もいます(※要検証)。日本のメディア報道だけを見ていると韓国の民主化の意義が過小評価されがちですが、国際社会では韓国の民主化運動はアジアにおける権威主義打破の成功例として高く評価されています (※要検証)。日本人としてもこの点を正当に評価し、連帯の視点を持つことが求められていると言えるでしょう。 おわりに:構造的理解と連帯の意義 峯岸論説委員の記事に見られる韓国民主化史への軽視や歪曲の背景には、日本メディアの経済・安全保障中心の視点と冷戦期から続く保守的バイアスが横たわっています。それは日経新聞という一経済紙のみならず、日本の報道界全体に共有された構造的な偏向です。その結果、韓国の進歩勢力が果たした民主化の歴史的役割よりも、「反日的」「情緒的」といったステレオタイプが強調されてきました。しかし他方で、日本社会の中には韓国の民主化に心を寄せ共に歩もうとしてきた人々も存在します。その視点に立てば、韓国の民主主義の歩みは日本自身の戦後民主主義を省みる鏡ともなりうるのです。Continue reading “日経論説に見る韓国民主化史への軽視・歪曲:背景と偏向の分析 日経新聞の企業理念と報道スタンス(過去10年)”