韓国でお葬式に行ってきた【日本婿あつしの韓国生活】

あにゃーせよ(안녕하세요)!妻を追って韓国移住したあつし(@atsushiseoul)です。今回は韓国で初めてお葬式に行ってきたので記事にしました。ご参考までにどうぞ。 ・はじめに 韓国での初めてのお葬式 故人との関係 ・お葬式について 場所:大邱(テグ)の病院地下葬式場 日時:2泊3日 参加者:ほぼ家族のみ。コロナ時代を実感 内容:ひたすら待機のお葬式・涙涙の火葬場・自然へと還る樹木葬    1日目:突然の訃報・飛び乗るKTX・式場泊    2日目:徹夜明けの喪主たち・涙の入館・ひたすら待機・親戚との会話・充実した食事    3日目:早朝の發靷(出棺)・記憶を頼りに進む山中・樹木への散骨・道端での食事 ・文化の違い?印象的だったこと 宗教? 「忌引き」について 「泣くこと」について ・韓国で初めてお葬式に参加して、次回から準備したほうがいいと思ったもの 事前の確認:家族の連絡先・お金・忌引き制度・お墓の確認 心の準備:宗教・遺言・外国で死ぬということ ・はじめに 韓国での初めてのお葬式 韓国でお葬式に行ってきた。僕にとっては初めての韓国でのお葬式である。 お葬式と言うのは人が亡くなった時に行うものであるから、誰にとっても悲しいイベントである。韓国人の妻を追って韓国に移住した日本人婿の僕にとっても、色々と大変だった。日本とは違うお葬式文化や、密な親戚同士の人間関係を2泊3日でみっちりと経験することになった。ある意味では貴重な経験をしたと言える。あまり考えたくないお葬式というイベントではあるが、比較的精神的打撃が少ないうちに、今回経験した韓国でのお葬式の流れを記録に残し、将来の自分や、韓国でお葬式を出すことになるかもしれない方々の参考になればと思い筆を執った次第である。 故人との関係 私は韓国に住む日本人男性である。韓国人の妻を追って韓国に移住した、日本人婿である。今回亡くなったのは妻の父方の祖母に当たる方であり、妻にとっては存命の唯一の祖父母であった。 享年95歳の大往生であり、半年ほど前の今年の旧正月にお会いしたときは多少痴呆の気はあったものの矍鑠としておられた。高齢の方が亡くなるときというのは、急に容体が悪くなるものらしい。が、それまで大きな病気も無くお元気でいらしたというのは不幸中の幸いであった。 今年95歳ということは、生まれてから成人するまで日帝強占期を過ごしたということだが、痴呆のためかそもそも日本語教育を受けなかったためか、あるいは他の深い理由かは分からないが、日本人婿の僕と日本語で会話した記憶はない。故人は若くして夫と死別している。30歳ごろに夫に先立たれた故人は、妻の父を含む3人の子供を女手一つで育てていくこととなった。韓国戦争が終わったばかりの混沌とした時代である。3人とも立派に成人されたが、その苦労は想像を絶するものがある。晩年は孫にも恵まれ、特に私の妻は大変可愛がってくださったようである。妻が大学に合格したときは家で踊り倒したということだ。また、愛煙家でもあり、亡くなる直前まで煙草を吸っていたにもかかわらず、医師によると肺はとてもきれいであったという。激動の時代を生き抜いた人らしい、生命力にあふれる方だったようだ。 宗教的には無宗教である。が、息子夫婦(=私の妻の両親)が近年ローマカトリックに入信したこともあり、亡くなる直前に洗礼を受けることとなった。洗礼名マリア。 ・お葬式について 今回僕が参席した、韓国でのお葬式について書いていこうと思う。 ところで、世の中には文化人類学という学問があり、人間社会を客観的に観察・研究する知の体系があることは僕も知っている。そういった学問の徒であれば、僕が今回経験したような異国でのお葬式のようなイベントについても深い考察ができるのだと思う。が、残念ながら無知なる一移民に過ぎない僕にとっては、5W1H及びタイムラインを掲示するのが精いっぱいである。あくまでも僕の経験した内容ということをご了承いただければ幸いである。 場所:大邱(テグ)の病院地下葬式場 今回のお葬式は、妻の実家のある韓国南部、慶尚南道に位置する大邱(テグ)のある病院地下の葬式上で執り行われた。 お葬式は韓国語では葬礼式(장례식)といい、葬式場は葬礼式場(장례식장)という。単語は似ているが、その意味するところはずいぶん日本と違う。まず場所からして、病院の「地下」に葬式場が備わっていることを僕は知らなかった。 不幸な出来事であるお葬式という行事の特性をふまえ、今回はあまり写真を撮らなかった。したがって葬式場の雰囲気は文章でお伝えする他ないのだが、まず病院の地下にある。入り口にはお悔やみの花が飾られており、そこで靴を脱いで入場する。 葬式場は大きく二つの場所に分かれている。一つは入り口に近い、広い空間であり、これは完全に食事をするためのスペースである。床に座って食事をする韓国式食堂、たとえば普通の街中のカルグクス(韓国式うどん)屋さん等を想像していただければいいと思う。実際に食事も飲酒もここで行う。 葬式場を構成するもう一つの場所は、祭壇のある小さな部屋である。前述の食堂のようなスペースのすぐ隣にあるものの、壁によって隔てられている。ドアは無い。ここは日本人でも想像がつくと思うが、まず白い棚に故人の写真が供えられている。また、果物のようなお供えもある。そして、お香がある。お香の上げ方は日本とほぼ同じだ。喪主(今回は故人の息子)と家族が弔問客を迎え礼を受け、涙ながらに祈りを捧げるのもこの部屋である。 賻儀金(プイグム)と呼ばれる香典もこの部屋の箱に入れる。喪主は基本的にこの部屋にこもり、食事の時及び弔問客の見送りの時以外は出てこない。 日時:2泊3日 葬式場が病院の地下にあるのも驚いたが、葬式が2泊3日と長いのにも驚いた。日本では不幸があると、訃報を打って葬式をあげるとなるのは一緒だが、ほとんどの場合は一日で終わると思う。 だが、韓国では2泊3日でお葬式をあげるのが一般的であるらしい。今回は故人に不幸があったのが火曜日だったので、火曜日を起点として木曜日までお葬式を行った。 2泊3日の間何をするのかと言うと、基本的には喪主を中心として個人の家族が葬式場に常駐し、弔問客たちを迎え、食事でもてなす。 喪主は、2泊3日の間、一睡もしない。上述した祭壇のある部屋にこもって、お香を絶やさないようにするのである。さらには、喪主は喪服を脱がない。つまり睡眠もシャワーもとらず、故人の冥福を祈るために2日間徹夜で香を上げ、弔問客をもてなすのである。ただでさえ傷心の喪主にとっては辛い時間であるはずだが、大事な人を喪った直後という最も精神的に危うい時間帯に人々と会い続けるのはそれなりに合理的なのかも知れない。 参加者:ほぼ家族のみ。コロナ時代を実感 喪主は2泊3日で弔問客に会うと書いたものの、今回のお葬式では家族以外の弔問客はほとんど無かった。その理由はコロナ(COVID-19)である。韓国でもコロナ対策で、大人数の集会の自粛が呼びかけられており、お葬式も例外ではない。そのため、今回はわたくしども家族の他には、故人が亡くなる直前に急遽入信したローマカトリックの神父さん一名以外は誰も弔問しなかった。葬式場の大きな食堂も、人が集まればこそ役に立つ。また、傷心の喪主を慰め、励ますという意味でも2泊3日の長丁場の葬式には弔問客の来訪が欠かせないと思うのだが、コロナのため人々が来ないために葬式場が余計広く、日程も余計長く感じられたものである。 内容:ひたすら待機のお葬式・涙涙の火葬場・自然へと還る樹木葬 改めてお葬式の具体的な流れを書いていこうと思う。タイムライン形式で書いていくので、長いと思ったら読み飛ばしていただいて構わない。 1日目:突然の訃報・飛び乗るKTX・式場泊 故人に不幸があったのは平日の火曜日だった。妻も僕も仕事中ではあったが、即座に勤め先に忌引きの申請を行い、受理された。翌日と翌々日の水曜木曜の二日間の忌引きである。 そもそも、妻の祖母の具合が良くないということは、前週の秋夕(チュソク)で大邱に行ったときに聞いていた。もともとチュソクでは家族親戚が一堂に会し、近況を共有したりするものだが、今回はコロナもあり、妻の一家とだけ会ったので何となく祖母の印象が薄かった。だが、妻はチュソク後も義母から、「そろそろ危ない」という話を聞いていたようだ。 最初僕は忌引きが一日分で十分かと思ったが、妻に言われて二日分申請することになった。正直、韓国でのお葬式が2泊3日も続くことを知らなかった僕は、「訃報を打ってからお葬式が始まるまでのタイムラグもあるし、長めに忌引き申請をしておけということかな」ぐらいの認識でいた。 妻とソウル駅で待ち合わせ、駅のプンシクチプ(粉もの料理屋)でうどんとキンパプを掻き込む。そのままKTXに飛び乗り、先週チュソクで行ってきたばかりの大邱に向かった。 大邱に到着し、バスを乗り継いで病院に到着すると、すでに夜であることもあり受付が閉まっていた。裏入り口から中に入ると、階段があり、そこを降りていくと葬式場があった。僕はこの時初めて韓国の葬式場は病院の地下にあるものと知った。つまり、韓国の葬式の風習について何も知らずに着替えだけ持って葬式場に来たのである。 靴を脱いで葬式場に入ると、食堂のような空間が広がっている。何故か小さい子供たちが騒ぐ声がすると思ってみると、妻の従妹たちの子供だった。すでに葬式は始まっており、妻の従妹たち(この人たちも故人の孫娘である)が弔問に来てくださったのだ。まずは祭壇のある部屋に入り、妻と一緒にお香を上げ、ぎこちなく故人の祭壇に対して礼をする。ついで義父母に対しても礼をする。食堂スペースに戻り、ひとしきり親戚の人たちに挨拶しながら改めて夕食を摂った。 親戚たちは帰り、義父母と僕たち夫婦だけが葬式場に残された。義父母は僕たちに、シャワーをして寝なさいと仰ったため、「お義父さまからお先にどうぞ」と言ったところ、喪主は葬式の二晩の間、喪服を脱いではいけないのだという。のみならず、喪主は寝てもいけなくて、二晩の間ずっとお香を絶やさないように祭壇の部屋にこもるということだった。ただでさえ、大事な人を喪って傷心状態の喪主に不眠不休でいさせて大丈夫かと心配になったが、考えてみると一番悲しい時間帯なので思いっきり悲しい気分に浸るという意味では合理的なのかもしれない。その間ずっと弔問客を迎えるシステムもある。家族や友人知人に慰めても貰える。故人との気持ちに区切りをつけるという意味ではよくできているのかも知れないと思った。Continue reading “韓国でお葬式に行ってきた【日本婿あつしの韓国生活】”

韓国に住む日韓夫婦の「秋夕(チュソク)」里帰り@2020年

あにゃーせよ!(안녕하세요!)妻を追って韓国に移住した아츠시です。今年も秋夕(チュソク)の連休を利用して妻の実家のある韓国南部の都市・大邱(テグ)に2泊3日で里帰りをしてきた。色々と興味深いことがあったので、写真や動画で振り返ってみたいと思う。 いきなり言い訳がましくなるが、とても楽しかった。そして、チュソクが楽しかったと言えば言うほど嫌われてしまうのが在韓日韓夫婦の定め…! そもそもチュソクとは何か?一般的には「韓国版旧暦お盆」と理解されていると思う。僕もそれはほぼ正しい認識だと思う。ご先祖様の霊が、あの世から帰ってくるイベント。日本だってお盆と言えばそういう建前で、田舎の実家にみんなで帰省していたはずだ。そして昔は旧暦でやっていたはずなのだ。韓国(や中国)では、そういう伝統イベント(お盆や正月)は今でも旧暦で行っている。 それでなぜ「チュソクが楽しかったと言えば言うほど在韓日韓夫婦のコミュニティの中で嫌われてしまう」のか?それにはちょっと解説が要る。 まず、韓国在住の日韓夫婦は、「韓国人夫+日本人妻」の組み合わせが圧倒的多数派だと思う。つまり、韓国に嫁入りしたパターンが大部分なのである。そういう家庭では日本人妻は「ミョヌリ(=日本語で言うところの「嫁」)」として、チュソクでご先祖様にお供えする料理(写真は下記に掲載)の準備をするための労働力として期待されるのである。姑と!嫁が!大量の料理を!するのである。それが嫌で嫌で仕方ない、そもそも大人数の(普段別に親しく付き合ってるわけでもない)義理の家族と顔を合わせるだけでもストレスなのに、さらにタダ働きさせられるのはもう精神的に参ってしまう、というのが「一般的な韓国在住の日韓夫婦の日本人妻」のチュソクのイメージであるらしい。 ちなみに韓国と日本の両方で話題を呼んだ『82年生まれキムジヨン』という韓国小説にも、チュソクで夫の実家に帰省して姑と一緒に料理したりタダ働きに汗を流す妻と、そんな妻を横目に自分の実家でくつろぐ夫の姿が対比されている。韓国人女性でさえ夫の実家(シジプという)での姑との労働やそれに付随するもろもろの会話は鬱になるのだから、異国の地に嫁いだ日本人妻にとってはそのストレスは想像に難くない。 という、一応日本人妻たちの辛さは認識はしているというアリバイを作った上で、今回の楽しかったチュソクの振り返りを行っていきたい。 ちなみに今回のチュソクは、コロナ(COVID-19)の拡散後初の名節(韓国語ではミョンジョル)となった。2020年初から韓国でも大拡散したコロナだが、旧正月(ソルラル)の時点ではそこまで拡散していなかった。そのため、「民族の祭典」たるチュソクとはいえども、今回ばかりは国民に帰省の自粛を呼びかけるべきかどうかが国政レベルで真剣に議論されていた。結局は国家からは「自粛」というほど厳しい呼びかけは行われず、「帰省はオンラインで」「顔合わせより家族の安全を」といった、奥歯に物が挟まった曖昧な言い方に留まったという印象である。 さて、チュソクの帰省である。ソウル駅からKTXに乗り、妻の実家のある韓国南部・慶尚南道の大邱(テグ)を目指す。 わたくしども夫婦はソウルから大邱までの移動を、KTXという韓国の高速鉄道に乗って行った。KTXは、日本で言うなら新幹線のようなものと理解してもらえればよい。前述の通りチュソクでの民族大移動によるコロナの感染拡大が危惧される中、公共交通機関の中でも長距離移動の大動脈であるKTXは、コロナの感染源として最も危険視されていた。そのKTXは、乗客の搭乗を「窓際席のみに限定」するという荒療治で乗り切った。つまり、席を予約する段階から窓際席のみ選択可能とする方法を取ったのである。これなら客と客の間が最大化できる…が、単純に考えてもこれはKTXのチケット売上高を半分まで落としてしまう。(座席をフルで売った場合は一列あたり窓際+通路側+通路側+窓際の4席。窓際のみの場合は2席。ツイートで4分の1と書いてあるのは盛大なる間違いである。) KTXの東大邱駅を降りると、広々とした駅前が広がっている。どうやら再開発を行っているらしい。噴水などもある優雅な雰囲気である。 ここから、地下鉄東大邱駅へと向かう。この地下鉄東大邱駅が面白かった。 まず、「文学自販機」というものがあった。 東大邱駅の地下鉄構内に「文学自販機」というものがあった。これは、ボタンを押すと無料で詩の書かれた紙がプリントアウトされてくるというものである。さすが文学の国、韓国。詩人の国、韓国。優雅さが違う。 もう一つ面白かったのは、「音の出る階段」。階段を登るたびにドレミの音が出る楽しい仕掛けである。これは色々な駅に設置されているらしいが、僕はここ東大邱で初めて見た。 地下鉄にしばらく揺られ、無事に妻の実家に到着した。 可愛い猫にお出迎えされたりした。 注意:ここから先は美味しそうな韓国料理の写真が出て来ます 妻の実家に到着した初日は参鶏湯(サムゲタン)という料理をご馳走になった。ツイッターでお世話になっている韓国人の博士様によると、婿が夜に頑張れるように義母が作る定番料理だそうだ。 また、豆腐と大根と牛肉のスープ(ソゴギムックッという)もご馳走になった。地味なようだがとても美味しい。 翌日朝は10月1日。秋夕(チュソク)本番である。先述した通り、ご先祖様の霊をお迎えするというお盆的なイベントであり、より正確にはチャレ(茶礼)というらしい。秋夕や旧正月の年2回、ご先祖様全体に対する礼を執り行う儀式である。一方でチェサ(祭祀)というのもあり、これは具体的に亡くなった方を想定し、その命日に行うものであるらしい。 お供えの料理は妻のお母様(チャンモニム)が準備して下さった。 写真を見れば分かる通り、多くの飲食物が供えられる。米の飯や果物、魚、タコ、ジョン(チヂミ)などである。また、マッコリという酒を何度かに分けてテーブルの上に乗せる。お香を焚き、マッコリの杯を持ってお香の上で円を描くように回し、テーブルに備える。 お供えのセッティングが出来たら、クンジョルという礼をする。両手を頭の上に持っていき、床に両手をつきながら両膝をつく。僕は中学高校時代、弓道の稽古に明け暮れていたので、こうした礼は嫌いでない。 礼がすんだら、お供えを少しだけ残して、家族で食す。これもまた古き良き時代の習慣という感じで良い。朝からマッコリ。 食事後に妻の家の中でわたくしども夫婦の臨時寝室として使わせて頂いている部屋に戻ると、箪笥の立派さに改めて驚いた。昔気質の家には今でも多くあるらしい。 日本と韓国は文化が似ているが、美意識という面では韓国には何というか卓絶したものがある気がする。この箪笥もそうだった。 こうしたちゃぶ台は日本と同じか。 朝食を茶礼のご馳走で大食したせいか、昼食はみんなでスキップすることになった。そこで、天気も良いことだし大邱市内にある大邱水辺公園という自然公園に赴いた。 自然にあふれた公園で、散歩しながら、僕、妻、妻のお母様の3人で色々な話をした。 今回の大邱行きでは、家族の会話というのを多く行ったのであるが、その中でも最も大きな話題はずばり「子供」のことであった。わたくしども夫婦は結婚して2年になるのだが、夫婦の合意の下、避妊を続けてきた。だが、年齢の問題もあり、そろそろ…という話をしている。義実家のご両親や、私自身の希望もあるので、そろそろ本腰を入れて取り組んではどうか、という話をしてきた。繊細な問題であるが、私自身韓国社会である程度基盤を築きつつあるので、夫婦でよく話しながら実行していきたい所存である。こうした、普段意識しながらもなかなか言いづらい話を敢えてできるのも、名節のようなイベント性のある時期ならではのことではないだろうか。 楽しい時間はあっという間に過ぎ、大邱を離れてソウルへと向かう時間となった。ご馳走になったお礼と、日ごろの感謝の気持ちを込めて、わたくしども夫婦はご両親にヨントン(現金のプレゼント)を行った。韓国では、家族の間で口実を見つけてはこのヨントンの交換が盛んにおこなわれる。僕は日本では現金を送りあうなんてしたことが無かったので最初は抵抗があったが、銀行間の送金手数料がタダであることが多いのと、送る回数が多い割には送られる回数も多いので、結局儀式的にお金を「送りあっている」ということが徐々にわかってきたため、いつの間にかわたくしども夫婦もご両親にヨントンを送るのが普通になった。今回は帰省したこともあり、手渡し。 さて、再びの東大邱駅である。帰りは夜になった。 そう、大事なことを言い忘れていた。大邱は韓国の中でも、初期にコロナが大拡散してしまった都市なのである。それもあって、街のいたるところに「マスクを着用しよう!」というメッセージが掲げられていた。ソウル首都圏でも多いが、大邱はそれに輪をかけて徹底されていた印象がある。これも、初期に感染爆発に苦しめられた大邱ならではと言えようか。10月になった今では大邱は韓国でも一番コロナが少ない地域となっている。 【コロナ】マスクをしよう:韓国・大邱(テグ)の看護師からの伝言 さて、今ではコロナ対策もあって、KTXに搭乗する際には、アンタクトで消毒が可能である。アンタクトとはUntact,非接触非対面を意味するコングリッシュ(英語風韓国語)であるが、コロナをきっかけに社会的に急速に普及しつつある。 同様に、コロナ対策のために密を避けてプラットフォームの待合室のような場所は完全に封鎖されていた。 そんなこんなでまた2時間KTXに揺られ、無事にソウル駅へと到着した。本当に楽しい時間を過ごすことができたので、妻と義理のご両親には感謝してもしきれない。このチュソク連休が終わったらまた頑張って働こうと新たに心に決めた次第である。

江南のSMタウンのこと

ソウル中心部にある江南(カンナム)の旧SMタウンに行ってきました。 最近ニュースにもなっていましたが、この巨大スクリーンは定時になると、波の映像を映し出します。ものすごい迫力です! 定時以外の時間には普通のコマーシャルなどを流しているみたいですね! 肝心のSMタウンですが、移転に伴って立ち入りが出来なくなっていました。悲しい。 今後はどこに移転するのでしょうか。気になります。 SM타운 코엑스 아티움 추억 속으로…SM, 6년 만에 영업 종료 #韓国生活 #日常 #ソウル

今週の #韓国ブロックチェーン (2020年9月20日週)

#韓国ブロックチェーン #ビジットミー10万人突破 #コロナ #ブロックチェーン振興法 #ディサイファー #ソウル大学 #カカオ #クハダ #新韓銀行  韓国国会で「ブロックチェーン振興法」を発議した与党「共に民主党」の李相珉(イ・サンミン)国会議員の国会公式ホームページ(韓国語) 韓国の大手銀行がブロックチェーンによる身元確認を導入

おすすめの韓国ドラマ

あんにょんはせよ!あつしです!今日は私のおすすめの韓国ドラマ・トップスリーを紹介します! まずは『賢い医師生活』です。 病院を舞台に、お医者さんの生活を描くドラマなのですが、ただの医療ドラマじゃないんです。 主人公は、大学の医学部入学以来の仲良し5人組のお医者さんです。 歳はもうすぐ40歳ということで、いわゆるアラフォーで中堅のお医者さんたちなのですが、 この先生たちの絡みが滅茶苦茶面白いんです。 医療ドラマというと、手術があったり、患者さんが亡くなったり、シリアスなイメージがあると思いますけど、 このドラマはそういうシリアスなのももちろんありますが、むしろ主人公たちの私生活とか、激務の間をどう楽しむかということに焦点が当たっているんです。 こういう、主人公たちがわちゃわちゃ絡む話って、日本だともはや学園もの、少年漫画とかでしかもう見れないような気がするんですが、 このドラマはアラフォーの大人たちが仕事もしっかりこなしつつ、日常をそれこそ賢く楽しんで行く、というのが描かれているのがいいんですよね。 2つ目が『ハイエナ』です。 これは弁護士が主人公の物語です。主人公のチョン・グムジャ、一匹狼の弁護士です。 庶民派で女性ということで、弁護士の世界でも割と非・主流派を歩んできたという設定ですが、 あることがきっかけで『ソンアンドキム』という大手弁護士事務所にジョインすることになります。彼女にはじつは凄惨な過去があるんですが、ストーリーの中でだんだんと分かってきます。 もう一人の主人公は、ユン・ヒジェ。彼は法曹界のエリート一家に生まれて、ソンアンドキムで順調に弁護士としてのキャリアを築いているのですが、チョン・グムジャとあることがきっかけで出会うことになります。 二人の出会いも面白いですし、その後の展開も予想を裏切ることの連続で面白いんです。弁護士ものというと、裁判での派手な立ち回りばかり強調されがちですが、このドラマはそんな弁護士たちの世界、小規模事務所と大手事務所の世界観の違いとか、大手の中での権力闘争、あとは事件として出てくるスタートアップでの過労死とかストックオプションをめぐる争いとか、かなり現代的なテーマが目白押しで面白いんです。 3つ目が『60日、指定生存者』です。 韓国の国会議事堂が爆破され、演説中の大統領を含めて国家の要人がみんな亡くなってしまうという衝撃的なシーンから始まります。主人公のパク・ムジンは、閣僚の中でもあまりぱっとしない環境問題担当の大臣だったのですが、爆破事件によって空席となった大統領の代わりに、大統領権限代行としていきなり国家運営のかじ取りを迫られるようになります。 ご存じの方も多いでしょうが、これはアメリカ版ので”Designated Survivor”(邦題は『サバイバー・宿命の大統領』)ですが、その韓国リメイクです。ただ、韓国とアメリカの憲法の違いや、韓国の置かれた国際的、国内的な政治状況を考慮して、大幅に作りが変わっています。 このドラマの一番の見どころは、やはり普通の市民である主人公のパク・ムジンが、いきなり大統領という重責を背負わされて、苦悩しながらもその都度素晴らしい決断をしていく姿です。 実はパク・ムジンは大学教授であって、選挙で選ばれた政治家ではないという設定なのですが、そういう政治の素人の主人公が、政治の中心のなかで揉まれて、人間としても政治家としても成長していくのが本当に面白いんです。政治が目指すべき正義とは何か、国を率いる政治家のリーダーシップとはどうあるべきか、といったことに興味がある方にはお勧めです。 動画での解説はこちら ちなみに、三作ともすべてネットフリックスで視聴することができます。 是非観てみてください! #韓国 #韓国ドラマ #賢い医師生活 #ハイエナ #指定生存者

今週の #韓国ブロックチェーン (2020年9月7日週)

毎週 #韓国ブロックチェーン の主なトピックをツイッター記事からまとめることにしました。韓国ではブロックチェーン開発がスタートアップ、大企業を問わず着々と進んでいます。日本語ではあまり情報が無いこともあり、かつて韓国のスタートアップでブロックチェーンのアルゴリズム開発、マーケティング、人事や経営まで携わった日本人である私には日本語で発信していく義務があると考え、本企画を始めた次第です。 大仰なビジョンを掲げましたが、ブログでやっていくことといえば、私がツイッターで呟いたことをまとめていくだけです。笑 毎週やることなので作業負荷を極限まで減らします。ツイッターのリンクに飛んでいただければ、元の記事(多くは韓国語ですが)を確認することができます。 韓国の大手銀行がブロックチェーンによる身元確認を導入 妻を追って韓国に移住しました|일본 사위 아츠시의 한국 생활| #韓国生活 #国際結婚 #韓国語 #韓国映画 #韓国ドラマ #韓国料理 #韓国半導体 #韓国崛起 #ブロックチェーン|

아츠시(atsushiseoul)のツイート(2020年)

こんにちは、아츠시です。妻を追って韓国に移住しました。普段はツイッターで韓国生活のあれこれを紹介しています。今年になってからバズることが増えましたので、反響が多かったツイートをこの記事でまとめてみました。よかったらフォローお願いします。 안녕하세요. 일본 사위 아츠시의 한국 생활을 소개합니다. 트위터 계정: @atsushiseoul 2020年1月~9月の間にバズったものを中心にまとめてみました。ツイッターのアカウントは @atsushiseoul です。 フェミニズム関連 コロナ関連 韓国生活 正義について 妻を追って韓国に移住しました|일본 사위 아츠시의 한국 생활| #韓国生活 #国際結婚 #韓国語 #韓国映画 #韓国ドラマ #韓国料理 #韓国半導体 #韓国崛起 #ブロックチェーン YouTube: https://www.youtube.com/channel/UCqnDM0VugyAn1le1qGb8JQQ

韓国の大手銀行がブロックチェーンによる身元確認を導入

この記事の内容 ・ 韓国の4大銀行の一つである新韓銀行(Shinhan Bank)が、アプリの本人確認プロセスにブロックチェーンを導入することを発表した。生体認証技術と合わせることで、利用者の簡便性が大幅に向上する。 ・ 新韓銀行はブロックチェーン発展のための有志団体である「マイIDアライアンス」にも加盟しており、今回の技術は同団体を運営するアイコンループ社(ICONLOOP)が開発したものである。 ・ 新韓銀行のみならず、サムソン証券をはじめとした韓国の金融大手も同様に本格的にブロックチェーン技術の導入に踏み切るものとみられる。 新韓銀行がブロックチェーンを導入 韓国の4大銀行の一つである 新韓銀行(Shinhan Bank)は、8月26日に公式ホームページ上で、同行のアプリにおける本人確認プロセスにブロックチェーンを導入することを発表した。新韓銀行はブロックチェーン発展をめざす韓国の民間・政府などの有志団体から構成される「マイIDアライアンス」に加盟しており、ブロックチェーンを利用した認証システムの活用に積極的だ。 ブロックチェーンで本人確認を大幅に簡素化 今回発表された内容は、新韓銀行の顧客がスマートフォンなどで利用するアプリ「ソル(SOL)」による本人確認に関するもの。すでに顧客はソルを通じて入出金などの手続きが可能だが、新規口座の作成や振替上限金額の更新などの手続きについては、顧客が身分証明証と自分の顔が映るように「自撮り」をしたうえで少額の入金をする必要があるなど、煩雑な手続きが存在していた。 新韓銀行はブロックチェーン技術と生体認証技術を活用して、こうした手続きを大幅に簡素化した。韓国の金融取引で本人確認に使用される「公認認証書」を新韓銀行側が登録しておくプロセスを踏めば、顧客側はスマートフォン上で指紋認識を行うだけで本人確認が完了する。顧客の本人情報は偽造・変造が不可能であるブロックチェーン台帳上にあるため、確実かつ簡潔に確認が可能だ。 新韓銀行は今後こうしたブロックチェーンによる認証をモバイルOTP(ワンタイムパスワード)発行やパスワード変更といった業務にも拡大する予定だ。 分散身元確認技術(DID)を開発したアイコンループ社(ICONLOOP) 新韓銀行が導入を発表した技術は、分散身元確認(DID, Decentralized ID)技術と呼ばれる。スマートフォンで本人情報を暗号化して保存した後に、個人情報提出の必要があるときに本人が直接個人情報を選択して提出することを可能にする技術であり、韓国の大手ブロックチェーン技術企業であるアイコンループ社(ICONLOOP)が開発した。 同社は新韓銀行も参画する「マイIDアライアンス」の旗振り役でもあり、同アライアンスのプラットフォームを提供している。DIDの他にも独立系ブロックチェーンであるループチェーン(Loopchain)の開発や、非対面での訪問者の本人確認を事前に行うことが可能なVisitMeなどのサービス開発を手掛ける。 アイコンループ社は、韓国だけでなく世界のブロックチェーン・コミュニティで存在感を放つ開発者団体であるアイコン(ICON)とも関係が深い。 ブロックチェーンは、韓国の社会と経済に「意味のある変化」を起こしつつある 新韓銀行の発表によれば、ブロックチェーンを活用した簡便性ある金融手続きへの転換は今後も続く見込みだ。金融取引に必要とされた各種証明書を、発行機関の確認無しにモバイルで伝送するなど、銀行顧客の便利性が大幅に向上するという。また、新韓銀行のグループ企業である新韓カード、新韓金融投資なども該当サービスの2020年内の導入を検討中であり、サムスン証券、 未来アセット証券、ペイコなどのマイIDアライアンスに属する77個のパートナー社も順次参加する予定だという。 新韓銀行以外にも、運転免許証のブロックチェーン技術によるデジタル化が始まったり、ブロックチェーン技術を活用した決済アプリ「チャイ(CHAI)」の利用者が200万人を突破したりと、韓国社会ではブロックチェーン技術を活用したサービスが着実に浸透してきている。仮想通貨以外のサービス開発に苦戦していたブロックチェーン業界だが、今年に入ってからはこうした社会的に意味のあるサービスを、ブロックチェーン技術を活用して韓国社会に送り出してきている。コロナウイルス(COVID-19)による社会的距離置き(ソーシャル・ディスタンス)の一般化に伴い、「非対面」の本人認証の重要性が認識され出したのも追い風と言える。ブロックチェーンによる韓国社会と経済の変化から今後も目を離せない。 参考 参考1.新韓銀行について 新韓銀行(Shinhan Bank)は、1897年に設立された韓国の銀行。2019年の総資産は364兆ウォンを超え、韓国4大銀行の一つとされる。 出典:file:///C:/Users/user/Desktop/20200406041636_09100891_188_salesreport_2019.pdf 参考2.新韓銀行による報道資料について 以下の通り日本語試訳を掲載しておく。 (原文:https://www.shinhan.com/hpe/index.jsp#300501010000) 報道資料 タイトル:新韓銀行、ブロックチェーン基盤身元認証サービス導入 出処:広報部 作成日:2020年8月26日 10:51 デジタル業務処理身元確認プロセス簡素化 新韓銀行、ブロックチェーン基盤身元認証サービス導入 -分散身元確認技術を通じた身元確認プロセス簡素化で顧客便宜性増大 新韓銀行(銀行長 チン・オクトン)は新韓ソル(SOL)に金融委員会・現金金融サービスに指定されている「マイID」基盤の分散身元確認(DID, Decentralized ID)技術を導入すると26日明らかにした。 分散身元確認技術とは、スマートフォンで身元情報を暗号化して保存した後、個人情報提出の必要があるときに本人が直接個人情報を選択して提出することができるシステムであり、新韓ソル(SOL)にマイIDアライアンスの「ズン(MyID)」が提供する身元認証サービスを使用できるように導入した。 新韓銀行は身元認証サービスを通じて非対面2次身元確認プロセス(身分証撮影または通信会社を通じた本人認証)を代替して顧客の業務プロセスを簡素化しソル(SOL)を通じて身元確認プロセスを踏んだ顧客は証券、カード、生命保険等金融機関取引のみならず生活便宜プラットフォームでも身分確認過程を省略あるいは簡素化することができる。 新韓銀行が検証する身元情報を保存し、他金融機関に提出時に身元証を撮影し提出するなどの別途検証無しに指紋認証だけで何度も提出が可能であり身元情報の偽造変造の有無についてはブロックチェーンで検証する。 現在はログイン手段変更部分に使用可能でありモバイルOTP(ワンタイムパスワード)発行、パスワード変更、顧客確認(KYC)等の身元情報確認が追加に必要な他の金融取引にも拡大する予定だ。 新韓銀行デジタルR&Dセンターのチャン・ヒョンギ本部長は「分散身元確認は今後広まるであろうデジタルIDエコシステムのスタート地点になる見込みであり、個人の身元情報のみならずデータ管理及び取引が可能なプラットフォームへと発展するだろう」と述べた。 ズン(MyID)を運営しているアイコンループのキム・ジョンヒョプ代表は「新韓銀行とのこの度の実名認証発行は金融界で使用されるDIDサービスの韓国国内最初のケースであるという点で大きな意味がある」としつつ、「今後汎金融界を越えて身元認証が必要な全ての分野へと“ズン”サービスを拡大して、より多くの利用者の便宜性を高めていく」と述べた。 他方で、身元認証サービスに電子署名技術が追加で搭載されれば認証書の代わりに個人認証手段として使用可能となり金融取引に必要とされた各種証明書を発行機関の確認無しにモバイルで伝送することが可能であり顧客の便宜性を更に高めることができる展望である。 新韓カード、新韓金融投資などの新韓金融グループ系列社も該当サービスの年内導入を検討中であり、サムソン証券、未来アセット証券、ペイコなどのマイIDアライアンスに属する77個のパートナー社も順次参加する予定である。 参考3.マイIDアライアンス(MyID)について ブロックチェーンを活用した金融サービス向上を目指す、金融業界などの有志企業からなる企業団体。 MyID 公式ホームページ:https://myidalliance.org/ 参考4.アイコンループ社(ICONLOOP)について 韓国を代表するブロックチェーン企業の一つ。2016年創業。独自開発のブロックチェーンであるloopchainをはじめ、モバイル身分証明サービス「マイID(MyID)」や身元確認サービス「Dパス(DPASS)」、ブロックチェーン証明書発行サービス「ブルーフ(broof)」等を提供している。また、同社の開発に関わったICONは、韓国だけでなく世界的なブロックチェーンコミュニティの中で存在感を持つ開発者団体である。 アイコンループ社 公式ホームページ:Continue reading “韓国の大手銀行がブロックチェーンによる身元確認を導入”

老兵

通勤時のソウル地下鉄で、車いすの老人がスマホを持った若者とぶつかりそうになるのを見かけた。次の瞬間、老人が叫んだ。 「携帯電話なんか見ながら歩きやがって!××(罵り言葉)!」 見知らぬ人同士の間では喧嘩の時さえ丁寧語(존댓말)を使う韓国では、ちょっとびっくりするような罵り言葉が聞こえてきた。他人が一度行ったことを見て、人格まで判断するようなことがあってはならない。が、衝撃的でないと言えばうそになる。この東方礼儀の国でなかなか見ることのできない光景に接して、しばらく考え込んでしまった。 考えながら、以前インターネットで見かけたある論争を思い出していた。作家の平野敬一郎氏が『日本経済新聞』に寄稿したコラムの話である。戦後しばらく、どこ町にもいわゆる「カミナリおやじ」と呼ばれる中高年の男性がいて、近所の子供が悪さをすると叱り飛ばしてくれるという、一種の教育係としての期待さえされる存在があった。が、よく考えてみると彼ら(必ず男性だった)は、第二次世界大戦に従軍した世代だったはずだ…そうすると、彼らがちょっとしたことですぐ大声をあげるのは、実は教育というよりも、戦争で受けた心身の傷による過剰反応、いわゆるPTSD(心的外傷後ストレス障害)の一種だったのではあるまいか。そういう考察である。 日本で、「復員兵」と呼ばれる存在の社会的に存在感が薄くなって久しい。シベリア抑留帰りや「蟻の兵隊」という重大な例外は別として、第二次世界大戦で戦闘を経験した軍人は、1945年に戦闘を終えている。 一方、韓国ではその後朝鮮戦争(1950年~1953年)があった。ついで、反共の軍事独裁政権が米国との同盟を強化する目的でベトナム戦争に韓国軍を派遣している。それが1960年代から1970年代前半にかけてである。韓国での海外からの「復員」は、日本より20年後である。たとえば1950年生まれの男性が、1970年に満20歳でベトナム戦争に従軍したとして、2020年には70歳でしかない。若くはないが、全く外出できない歳でもない。その辺を歩いている老人、さっきすれ違った老人、そういう人がベトナム帰還兵である可能性は十分ある。 たとえば、『サイコだけど大丈夫』という韓国ドラマがある。同作に登場するある老人は、一見なんの問題も無さそうな好々爺だが、なぜか精神病院に入院している。彼がどうして精神病院にいるのかは、ドラマ12話で描かれる。老人がバスに乗って外出すると、バスが道路工事の現場に差し掛かる。工事に使われるドリルの音が、ベトナムの戦場での機関銃を思い出させ、老人は地獄の戦場でのトラウマが一瞬にして蘇る。老人は、50年もの間過去に囚われ、戦争のPTSDに苦しんでいるのだった。また、映画『国際市場で逢いましょう』でも、主人公の男性がベトナム戦争下の南ベトナムに出稼ぎに行き、死線をくぐるシーンが出てくる。 私自身、「ベトナム参戦戦友会」と書かれた車を街で見かけたことがある。冒頭の地下鉄で怒鳴った車いすの老人がベトナム帰りの老兵である可能性も無きにしも非ずである。平和な繁栄を謳歌する韓国社会だが、戦争や分断の傷跡は社会のあちこちにみられる。その傷の責任の多くは、突き詰めると日本軍国主義にある。韓国社会で暮らす日本からの移住民として、襟を正して向き合いたいと思った次第である。 https://www.netflix.com/title/81243992