英語を読んでいると、ときどき日本語に一語で訳しにくい単語に出会います。
最近、NVIDIA創業者ジェンスン・フアンの伝記を読んでいて、そんな単語に出会いました。
それが formative です。
ジェンスン・フアンの壮絶な少年時代
ジェンスン・フアンは台湾生まれですが、少年時代にアメリカへ移住しました。
両親の都合で、兄とともにケンタッキー州の寄宿学校に預けられます。
そこで彼は、
- 毎日の労働
- トイレ掃除
- いじめ
- 年上の不良との共同生活
といった過酷な環境を経験しました。
後に彼はこう語っています。
I don’t get scared often. I don’t worry about going places I haven’t gone before. I can tolerate a lot of discomfort.
(私はあまり怖がらない。行ったことのない場所へ行くことも気にしない。かなりの不快さにも耐えられる。)
そして伝記には次の一文がありました。
He looked back on his time at Oneida Baptist as formative.
formative の意味
辞書的には、
人格や能力の形成に大きな影響を与える
という意味です。
しかし実際のニュアンスはもっと強い。
単なる
- 影響を受けた
- 勉強になった
ではありません。
むしろ、
その経験が今の自分を作った
という感覚です。
だから上の文章は、
彼はOneida Baptistでの経験を、自分を形作った原体験だったと振り返っている。
と訳すのが自然です。
日本語に訳しにくい理由
日本語の「影響を受けた」は少し軽い。
一方で formative は、
もしその経験がなかったら、今の自分は違う人間になっていた
というレベルの重みがあります。
そのため文脈によって、
- 人生を形作った
- 人格形成に大きな影響を与えた
- 原体験となった
- 今の自分を作った
などと訳されます。
ビジネスでも使われる
この単語は伝記だけでなく、ビジネスでもよく登場します。
例えば、
Working at Canon was a formative experience.
キヤノンで働いた経験は、今の自分を作った経験だった。
あるいは、
My years in Korea were formative.
韓国で過ごした年月は、今の自分を形作った。
単に「楽しかった」「勉強になった」ではなく、
価値観や考え方そのものが作られた
という意味になります。
formative years も頻出
合わせて覚えたいのが、
formative years
という表現です。
これは
人格形成期
を意味します。
子供時代や青春時代について語るときによく使われます。
例:
During his formative years, he developed a passion for technology.
人格形成期に、彼は技術への情熱を育んだ。
まとめ
formative は単なる「重要な経験」ではありません。
その経験が、
- 性格を作り
- 考え方を作り
- 人生観を作った
という意味を持つ単語です。
ジェンスン・フアンにとって、ケンタッキーの厳しい寄宿学校生活はまさに formative な経験でした。
英語を読むときに formative を見かけたら、
「影響を受けた」
ではなく、
「今のその人を作った経験」
と考えると、本来のニュアンスにぐっと近づきます。