最近読んだThe Economistの記事で、とても印象に残った表現が二つありました。
一つは、
simply did not stop
もう一つは、
roll their sleeves up
どちらも難しい英単語ではありません。
しかし、この記事全体のメッセージを象徴する表現でした。
キッシュを焼き始めて、やめなかった
記事では、アメリカの無名の富豪たちが紹介されます。
シリコンバレーの起業家ではありません。
テキサスで雨どいを売る人。
ニュージャージーでトイレットペーパーを卸す人。
そして、カリフォルニアでキッシュを焼く女性。
記事にはこうあります。
One woman in California began baking quiches for her own parties and simply did not stop.
直訳すると、
「ある女性は自分のパーティー用にキッシュを焼き始め、そのままやめなかった。」
です。
普通なら、
「革新的なビジネスモデルを構築した」
とか、
「市場のニーズを見抜いた」
とか書きそうなところです。
しかしThe Economistは、
「やめなかった」
と書く。
結果として彼女は20年後、1日100万個以上のキッシュを製造する会社を築き、ヨットを所有する富豪になりました。
成功の理由は天才性ではなく、継続だった。
そんな皮肉が込められています。
腕まくりする人たち
記事の最後には、こんな一文があります。
Much of the spoils of capitalism are still won by those who roll their sleeves up.
roll one’s sleeves up は、
「腕まくりする」
という意味です。
転じて、
「泥臭く仕事に取り組む」
「現場で汗をかく」
というニュアンスになります。
これもまた面白い。
近年のビジネス記事では、
AI
イノベーション
ディスラプション
といった言葉が並びます。
しかしこの記事は、
資本主義の果実は今でも腕まくりする人たちによって獲得されている
と言うのです。
実は同じことを言っている
私は読みながら気づきました。
「Simply did not stop」と「Roll their sleeves up」は、実は同じことを言っています。
やめなかった人。
腕まくりし続けた人。
結局、成功したのはそういう人たちだということです。
派手ではありません。
SNS映えもしません。
しかし、記事に登場する富豪たちは、まさにそういう人たちでした。
半導体業界でも同じかもしれない
私は半導体商社で働いています。
毎日RFQが来て、
毎日見積を出して、
毎日顧客と話しています。
正直、シリコンバレーの起業物語のような華やかさはありません。
しかし振り返ると、
業界で成果を出している人たちは、
特別な才能の持ち主というより、
何年も同じことを積み重ねてきた人が多いように思います。
市場を追い続ける。
顧客と会い続ける。
知識を蓄積し続ける。
そして、やめない。
まさに、
simply did not stop.
そして、
roll their sleeves up.
なのだと思います。
成功本100冊より重い4語
The Economistの記事を読んでいて、
一番印象に残ったのは難しい経済学の話ではありませんでした。
たった4語です。
simply did not stop.
成功の本質を説明するのに、これ以上の表現はなかなかない気がします。