【閲覧注意】朴正熙記念館に行ってきた(ダークツーリズム)

ヤバい博物館に行ってきた。韓国のかつての独裁者、朴正熙大統領の生家である。

なお、今回の記事には非民主的な事件が記述されているので、読者には気を付けていただきたい。私には朴将軍の業績を一切称賛するつもりは無い旨を予めご了承頂きたい。これは、いわゆるダークツーリズムの一種である。

さて、朴正熙大統領(以下、朴将軍)の生家は、韓国東南部の慶尚北道、亀尾(「かめお」ではなく「クミ」)市にある。

のっけからヤバい

入り口で、セマウル運動を模した銅像が出迎えてくれる。

セマウル運動といえば、朴将軍が推進した農村改革の富国強兵策のひとつである。そうそう、この記念館のある場所は、目の前の道路がなんと「朴正熙路」、もうひとつが「セマウル路」だった。

朴正熙路
セマウル路
記念館周りはのどかな郊外の住宅地
朴将軍を称えるスローガンの数々
トイレも立派。カネかかってる。

朴将軍の生家は小さな農家風の建物だった。貧しい生まれということ。

舎廊(サラン)
家の中
朴将軍の少年時代の勉強部屋

朴将軍の生家すぐ裏は山だった。

ポンプ式井戸

生家には廟堂が付設されている。

お香の匂い

保守王国として知られる、この慶尚道では、朴将軍にシンパを感じる人が今でも多い。妻は大邱の出身だが、妻の母上は「あの人は立派な人、貧しかった韓国を取り合えず食えるようにしてくれた」と言っている。この生家の展示を見ると、実際貧しさから身を起こして国家発展のために生涯を捧げた立派な人に見えなくもない。だが、そんな精一杯好意的に見ようとする試みも一瞬で打ち砕かれる偏向展示が私を待ち受けていた。

生家の隣には「民族中興館」なる名前の博物館があった。展示内容はひどく偏ったものだった。

「清廉な軍人」

「大統領就任」
クーデターのクの字も無い

朴将軍と言えば1961年の軍事クーデターであるが、この記念館にはクーデターという単語は使われていない。5•16革命という名で美化されている。

往事を偲ばせる物品たち

また、朴将軍と言えば言わずと知れた親日派(チニルパ)である。日本陸軍士官学校や満州軍官学校を出て将校勤務をしたことを知らぬものはいない。が、ここでは一切そんな記述は見られない。小学校で教職を勤めて辞めた後、何かいきなり光復を迎えることになっている。

前線勤務の軍人を激励する陸英修夫人の図。夫人のにこやかさと兵士の表情が完全に死んでいることが対照的

とにかく偏った記念館だった。芳名録も完全に朴将軍に私淑する親日右翼コメントばかりだった。

「この國を護って下さい」的なコメントだらけ

韓国語が読めない人のために、資料として日本語パンフレットを掲載しておく。親日右翼がこういう世界観であると知っておくことで、韓国や日本で反共を煽っているのがどういう人間なのか少しはわかるかもしれない。

(以下も閲覧注意)

韓国料理: ソルロンタン

ソルロンタンを食べに来ました。

アツアツで美味しいです。

この店はコクがあって旨い。

ソルロンタンの店は大抵キムチが旨い。

ソルロンタンにカクトゥギをぶちこんで食べるのが韓国のアジョシ(おじさん)流。

お値段は9,000ウォンです。千円弱といったところ。

#韓国料理 #ソルロンタン

イ・グゥアンフィ『これが空売りだ』21世紀ブックス、2019年(韓国語書籍)を読む

『これが空売りだ』

空売り(short selling/공매도)は、他人の持つ株(またはその他金融商品)を借りてきて、それを売るという行為である。ややこしいが、その意図するところは「何かの価格が下がる方に賭ける」というものである。空売りはイメージが良くない。それはそもそも他人の物を売るという行為が直観的に理解しがたいこともあるが、投資家というのはそもそも価格が上がることに賭けるのが投資だと思っているため、わざわざ価格を下げるような行為をする空売りというものに対して敵意をもつのも大きな理由だろう。

今日紹介する書籍はイ・グゥアンフィ『これが空売りだ』21世紀ブックス、2019年(韓国語書籍)である。タイトルが示す通り、この本は空売りという金融技法について総括的、学問的に広く深く述べている。先週の予告でも紹介した通り、著者のイ・グゥアンフィ教授は空売りに関する世界的な権威であり、現在韓国のソウル大学経済学部で教授職にある。

忙しい読者のために、本書のまとめとして著者が紹介している3つの提案と1つの提言から紹介したい。

・3つの提言

1.空売り関連をインフラ拡充すべき

2.個人投資家の空売り機会を拡充すべき

3.事前的な規制に力を入れすぎず、事後的に明らかになった反則への処罰を大幅に強化すべき

・1つの提案

空売り(공매도)という呼称を、借売り(차입매도)に変えてはどうか

著者は何故このように空売りを積極的に擁護するのか?それは、空売りには市場の「価格効率性」を実現する力があるからである。

著者が言及しているたとえ話の中で、印象的なものを紹介したい。中国で、毛沢東が「すずめ」を害鳥として駆除を命じたことがある。すずめは農作物を食い荒らすからである。ところが、すずめが駆除されてしまった結果、すずめを天敵としていた害虫が増えてしまい、結果的にすずめより多くの農作物の被害が生じたという。空売りも同じである、と著者は言う。空売りそのものにも弊害はあるが、空売りを禁止してしまうと市場は正しく機能しない。空売りがないと、「適正価格(公正価格)」が実現されないのである。

例えば、空売りを規制している国では、株価に否定的な影響を与えるであろう情報は、なかなか価格に反映されない。しかし、空売りが認められている国では、素早く価格に反映される。経済学において効率的であるというのは、情報がタイムラグ無しに共有されるという意味合いがあるので、空売りが情報共有の速度に貢献しているというのは、価格の効率性の一助になっているというのと同じである。(Bris, Goetzmann and Zhu, 2007)

また、香港の空売り市場の研究によれば、香港では空売りしていい会社リストというのがあり、それは定期的に更新されるという。空売りの対象となった会社の株価は、リスト登録後に実際に価格が下落するが、それは一時的な現象ではなく、下がったままである。これは、一時的に空売りによって価格が下がったのではなく、その会社の株価が本来あるべき水準に回帰したと考えられるべきという。(Chang, Cheng, Yu, 2007)

逆に、空売りが規制されると市場にどういう影響があるのだろうか?一言で言うと、空売り禁止は史上の流動性を低めてしまう。簡単なことで、空売りというのは「売り」の立場で市場に参加する権利を提供するので、空売りが禁止されればその分「売り」が減ってしまう。これが流動性を低めるということである。結果として市場効率性も阻害される。皮肉なことに、空売り規制というのは例えば相場が暴落する状況(恐慌など)で、価格下落を阻止するために金融当局が命じることが多いのだが、空売り規制をしても株価を支える助けにならないばかりか、意図とは逆に株価をさらに下げてしまう可能性さえあるのだ。(Beber and Pagano, 2013)

このように、空売りというのは効率的な市場を維持するためには欠かせないものである一方で、常に批判にさらされてきた。著者のイ・グゥアンフィ教授は、2020年に韓国金融当局が空売り規制をした際に、空売りの是非をめぐる研究を依頼されたと報道された。同様に依頼を受けた同じくソウル大学教授であるアン・ドンヒョン教授が空売り規制派であるのに対し、イ・グゥアンフィ教授は空売り擁護派として知られる。

韓国金融当局は2021年5月に空売りを再び解禁する方針だが、今後の動向が注目される。特に、2021年1月に米国個人投資家が機関投資家の空売りに対抗して米国ゲーム会社の株価を暴騰させた事件の後、空売りの是非に関する注目が韓国内でも再び高まっている。韓国では2020年に国内不動産保有に関する規制が強化された後、個人投資家が不動産から株に資金を振り返る傾向が強まり、サムスン電子などを含む国内株式保有率の個人投資家率が大幅に増えているためだ。空売りが韓国で解禁された場合、米国同様に「機関投資家による空売り」対「個人投資家による買い支え」のような株式市場の狂乱が再現されかねない。

このように激しく変化する株式市場における空売りの意味を正確に理解するためにも、イ・グゥアンフィ教授の『これが空売りだ』は必読書であると言えよう。

이관휘, “이것이 공매도다” 21세기북스, 2019년

イ・グゥアンフィ『これが空売りだ』21世紀ブックス、2019年(韓国語書籍)

目次

1部 空売りとは何でないか

   空売りについてのよくある誤解

・空売り、その正体は何なのか

・ネーミングの失敗と誤解の始まり

・韓国及び米国における空売りの現状

・空売りをめぐる制度の変化

2部 空の悲哀

  批判ばかりされがちな空売りのための弁論

・空売りに一石を投じるのは誰か

・「空売りが株価を下落させる」?

・「空売りが株価変動の元になる」?

・価格操作という刺激的な誘惑?

・未公開情報を利用する空売り?

3部 これが「本当の」空売りだ

   予測と洞察で金融エコシステムを守る

・空売りの最大の長所:価格効率性

・市場における異常事態と空売り

・空売りは流動性を供給する

・空売りは嘘つきに噛みつくハンターである

・多様な投資とヘッジ戦略の手段

4部 空りは絶対に必要である

   グローバル株式市場に答えを求めて

・空売りと価格効率性に対するグローバル実証研究

・金融危機を悪化させた「空売り禁止」

・香港の空売り規制を通じて分かること

・グローバル市場での空売り規制の回避は可能か?

https://book.naver.com/bookdb/book_detail.nhn?bid=15373384

#空売り #韓国 #金融 #株 #投資 #ソウル大学

今日の韓国カフェ

江華島のパダポダというカフェに来ました。

中はこんな感じ

3階建てなんですよね

肝心の食べ物です。

コーヒー(アイスアメリカーノと呼ばれています)とチーズケーキがそれぞれ6,000ウォンずつでした。大体600円ずつといったところでしょうか。

メニュー板です。韓国語が分かる方は読解にチャレンジしてみても面白いかも!

そうそう、3階にルーフトップ(屋上テラス)席がありましたよ。

屋上からだと、海がよりよく見えますね。

広々とした駐車場。ここは郊外なので、いいですね。

パダポダ(海を見る)というカフェでした。

住所等は私の韓国語ブログの方に書いておいたので、韓国在住で、もしもこのカフェを訪れたい方はご覧ください。

https://m.blog.naver.com/atsushiseoul/222235226816

それでは!

(ブログ記事作成予告)イ・グゥアンフィ『これが空売りだ』21世紀ブックス、2019年(韓国語書籍)を読む

読みたい本はたくさんあっても時間は限られているので、宣言することで自分を追い込もうと思う。

来たる2月7日(日曜日)に当ブログにて、以下の書籍を紹介する予定である。著者のイ・グゥアンフィ教授はソウル大学経済学部の教授であり、金融理論、中でも「空売り」に関する研究では世界的な権威である。私もソウル大学MBA時代に教授の授業を受講し、それまでよく知らなかった空売りについての体系的な説明に初めて接し、感銘を受けたものである。

イ・グゥアンフィ『これが空売りだ』21世紀ブックス、2019年(韓国語書籍)

https://book.naver.com/bookdb/book_detail.nhn?bid=15373384

韓国金融当局は2021年3月に空売りを再び解禁する方針だが、今後の動向が注目される。特に、2021年1月に米国個人投資家が機関投資家の空売りに対抗して米国ゲーム会社の株価を暴騰させた事件の後、空売りの是非に関する注目が韓国内でも再び高まっている。韓国では2020年に国内不動産保有に関する規制が強化された後、個人投資家が不動産から株に資金を振り返る傾向が強まり、サムスン電子などを含む国内株式保有率の個人投資家率が大幅に増えているためだ。空売りが韓国で解禁された場合、米国同様に「機関投資家による空売り」対「個人投資家による買い支え」のような株式市場の狂乱が再現されかねない。

参考記事:アリとロビンフッド

https://atsushiseoul.com/2021/01/30/%e3%82%a2%e3%83%aa%e3%81%a8%e3%83%ad%e3%83%93%e3%83%b3%e3%83%95%e3%83%83%e3%83%89/

このように激しく変化する株式市場における空売りの意味を正確に理解するためにも、イ・グゥアンフィ教授の『これが空売りだ』は必読書である。

이관휘, “이것이 공매도다” 21세기북스, 2019년

イ・グゥアンフィ『これが空売りだ』21世紀ブックス、2019年(韓国語書籍)

目次

1部 空売りとは何でないか

   空売りについてのよくある誤解

・空売り、その正体は何なのか

・ネーミングの失敗と誤解の始まり

・韓国及び米国における空売りの現状

・空売りをめぐる制度の変化

2部 空の悲哀

  批判ばかりされがちな空売りのための弁論

・空売りに一石を投じるのは誰か

・「空売りが株価を下落させる」?

・「空売りが株価変動の元になる」?

・価格操作という刺激的な誘惑?

・未公開情報を利用する空売り?

3部 これが「本当の」空売りだ

   予測と洞察で金融エコシステムを守る

・空売りの最大の長所:価格効率性

・市場における異常事態と空売り

・空売りは流動性を供給する

・空売りは嘘つきに噛みつくハンターである

・多様な投資とヘッジ戦略の手段

4部 空りは絶対に必要である

   グローバル株式市場に答えを求めて

・空売りと価格効率性に対するグローバル実証研究

・金融危機を悪化させた「空売り禁止」

・香港の空売り規制を通じて分かること

・グローバル市場での空売り規制の回避は可能か?

著者について

イ・グゥアンフィ(이관휘)

空売り及び株式流動性に関する世界的権威。ソウル大学経済学部教授。

ソウル大学経済学部、米国ノースカロライナ大学、オハイオ州立大学で学んだ後、韓国に帰国し高麗大学教授などを歴任後現職。韓国国内で金融理論に関する数々の活動への受賞歴あり。

“Short-Sale Strategies and Return Predictability” “It’s SHO Time! Short-Sale Price Tests and Market Quality”など、金融経済学に関する論文は世界的に評価を得ている。

2020年に韓国金融当局が空売り規制をした際に、イ・グゥアンフィ教授は空売りの是非をめぐる研究を依頼されたと報道された。同様に依頼を受けた同じくソウル大学教授であるアン・ドンヒョン教授が空売り規制派であるのに対し、イ・グゥアンフィ教授は空売り擁護派として知られる。

韓国金融当局は2021年3月に空売りを再び解禁する方針だが、今後の動向が注目される。特に、2021年1月に米国個人投資家が機関投資家の空売りに対抗して米国ゲーム会社の株価を暴騰させた事件の後、空売りの是非に関する注目が韓国内でも再び高まっている。韓国では2020年に国内不動産保有に関する規制が強化された後、個人投資家が不動産から株に資金を振り返る傾向が強まり、サムスン電子などを含む国内株式保有率の個人投資家率が大幅に増えているためだ。空売りが韓国で解禁された場合、米国同様に「機関投資家による空売り」対「個人投資家による買い支え」のような株式市場の狂乱が再現されかねない。

このように激しく変化する株式市場における空売りの意味を正確に理解するためにも、イ・グゥアンフィ教授の『これが空売りだ』は必読書である。